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#38

朝の優しい太陽光に照らされて 大好きな匂いに包まれて、朝を迎えた。 「起きて下さい、ほら。今日あんた早番でしょ」 胸に押し付けられた金色が、うぅんと唸って小さく動く。 「…健太君?……おはよぉ〜」 あの後結局玲さんの満足いくまで何度も行為を繰り返し 2人揃って体力の限界を迎えて食事も取らずに眠りについた。 「…おはよっつってまた寝るつもりでしょ。ダメですよ」 「んん〜……バレたか」 「バレバレ」 布団を剥いで、俺も玲さんも何も纏っていない姿は 昨夜の激しさを物語る。 …一回出した事で諦めた俺も悪いけど 何度も玲さんの中で果てたおかげで 幸い俺の身体はそこまで汚れてはいない。 ……まあ、玲さんので多少は…アレだけど。 ベッドの下に放られていた下着に足を通し、 再度玲さんの肩を揺さぶる。 「ほら、遅刻しますよ。起きてください。 …俺先にシャワー浴びてきますよ」 そういうと、それまでもぞもぞと枕にすがりつき 動く気配のなかった玲さんがぱちっと目を開いた。 「…ん、健太君また……シャワー時間かかる…?」 まだ寝起きの眠たそうな目に浮かぶ不安の色。 あぁ…そうだった。 全部知られているんだ。 「…そんな事ないよ。流すだけ。 ……なんなら一緒に入ります?」 ぎしっとベッドに腰掛けて 所々跳ねている髪の毛に指を通した。 「…掻き出してるところ見られるのは……流石に恥ずかしいから遠慮します」 「っふ。…わかった」 カーテンを全開にして、玲さんに一直線に太陽の光を浴びせる。 これなら朝に弱い玲さんも 起きざるを得ないであろうという環境を整えて、俺は1人浴室へ向かった。 …あー、つか俺今日から無職じゃん。 プー太郎。 どうすっかな。 目を覚ますため、普段よりも温度を下げた水を浴びて 少しずつ冷めた頭でそんなことを考える。 俺と玲さんは、恐らくあれで完全に店と縁は切れただろうが 山内は大丈夫だろうか。 俺たちに加担していたと、もし店長が知れば 今度はあいつにも被害が及ぶかも知れない。 …それだけは、避けないと。 あとで連絡してみるか。 そしてできる事ならば、また同じ場所で働きたい。 カタンと、リビングの方で音がしたのを聞き シャワーを止めた。 今日は玲さんこそ時間がかかるだろうから そろそろ出てやらないと迷惑になるだろう。 と、扉を開ければ そこには真っ青な顔をして立ち尽くす玲さんの姿があった。 「………何」 「あっ、あのさ…俺の制服………めちゃくちゃ臭いんだけど…」 「……あ」 そういえば、香水をぶちまけた鞄は 玲さんが仕事用に使っているものだ。

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