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#41

いつもより少し早くに着いたおかげで、 社員専用の駐車場にはまだ一つも車は止まっていなかった。 これならもしかして、誰にもバレる事なくそっと予備のシャツを借りることができるかも知れない! ついでに結構首元も締まってるタイプだし うまく隠せたらな〜なんて…。 そんな野望を持って、誰にも聞こえないくらいの小声で呟く。 「失礼しま〜す…」 「おっ?有栖今日早いんだな。どうした?」 …リーダー徒歩出勤だった!! うええええん!!! しかもよりによってリーダーだし…。 絶対なんか言われるじゃん…。 急に足取りが重くなる俺を見て、 リーダーは何か体調がすぐれないとでも思ったらしく 駆け足で俺のもとに駆けつけてくれた。 「…なんか顔色悪くないか?…?!てかお前くさ!香水キツすぎだろ!」 「う゛…あの、それがですね…?」 お前くさ!は失礼じゃないかな?? いくらなんでも俺傷つくしっ。 「実は昨日…色々あって、制服にぶちまけてしまって…」 もそもそと鞄の中からほんのりと黄色くしみがかったシャツを取り出し、思った以上の い い に お い にクッと鼻が鳴る。 誤解しないでもらいたい。 確かに強烈だけど、これはいい匂いなんです。 「ぶちまけ…って、まさか誰かに襲われたんじゃないだろうな?」 「へ?」 俯いていたら、ズカズカと近寄ってくる靴の音に慌てて頭を上げた。 リーダーは怒るどころか顔を真っ青にしてものすごい勢いで俺に近寄ってくるものだから、つい2,3歩後ろに後ずさってしまう。 本当に、猛烈な勢い。 「な、なに?!どうしたのリーダーっ」 あまりの驚きに敬語が抜けて思い切りため口になったのを叱られるわけでもなく リーダーは俺の目の前まで来ると、眉間に冗談みたいにしわを寄せて俺の首元に触れた。 ぞわっと身体に虫が走るような感覚を覚え、反射的に肩が大きく揺れる。 この人、俺の事すぐ触りたがる癖どうにかしてもらわないとそろそろ困るんだけど。 「…それ……」 「?」 そんなリーダーの視線は俺の目ではなく、その下の……首元の当たりを凝視していて。 「…その首の痣、それに歯型。 αに無理やり何かされたんじゃ……」 あっ、 うそー、隠せてなかったかぁー。 すごく心配そうにしてくれるリーダーにはそれはそれは申し訳なくて、 とてもじゃないけど番との夜の営みの末に出来た傷ですとは言えない。 けど、一応 「……番のものなので、お気になさらず〜」 リーダーには話しておいた方が後々楽ではあるのかも。 すると── 「つ、つがっ……えっお前、えっ…居たのか…?」 何故だかびっくりするくらいリーダーはガクンと肩を落とした。

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