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#42

リーダーの今までに見たこともない落ち込みように、俺は頭の中をひたすら掻き漁って理由を探った。 もしかして、この制服俺が思ってるよりもうんと高価な物だったとか? だったら俺のお給料減額されたりするのかな… いやまあそれは仕方が無いとして、 でもこんな、脊髄抜き取られたみたいに項垂れてるのはもしかして、もしかしたら──…。 「…リーダー、俺の事狙ってました?」 「なっ…ねらっ?!か、勘違いすんなマセガキ! 別に有栖の事とか別に……狙って…なんか……」 最後の方なんて全くもって聞こえてないんですけど、リーダーさん。 ついでに耳まで真っ赤になってます。 …は〜、なるほどなるほど。 俺ってお昼の世界でも実は結構モテちゃうんだ? 意外…だけど、なんか嬉しいかも。 認めてもらえるんだ。 ああいう世界に居なくたって、俺を好いてくれる人はいるんだ。 健太君のお陰であの世界から足を洗えた。 そしてこの仕事を始めて、新しく出会えた人に好意を寄せてもらえて。 何でもかんでも健太君のお陰だとまとめ上げてしまうのはいかがなものかと思うけど それでもやっぱり俺にとって健太君という存在は、人生を変えてくれるほどの人物であることに変わりはない。 「リーダーすごく優しいし、俺も好きですよっ。 だから制服の事……秘密にしといてもらえませんっ?」 「…わかって言ってくるのは汚いぞ有栖……」 とぼとぼ…なんて効果音が似合う足取りで椅子に腰掛けたリーダーは、一番下の深い引き出しの中から袋に入った綺麗な制服を取り出した。 その顔は年甲斐もなくふてくされていて、ちょっと可愛いとか思ってしまう。 袋から出してくれたそれを受け取ろうと手を伸ばせば 制服はひゅっと俺から逃げて、リーダーの手の中で小さくなっていた。 「あ、あの…リーダー…?」 「質問に答えろ!」 「は、はいっ。」 いきなりどうしたっ。 「もう籍は入れてんのか!」 「まだ入れておりませんっ!」 「ならいい!」 いや、何が?! リーダーの勢いに乗せられて結構大きな声で… 恥ずかしいことを言わされた気がする…。 しかも、まだって言っちゃった。 俺、毎回プロポーズもどきの事してもやんわり断られまくりなのに。 …でも番…だし……? 「いいか。お前には有栖ってネームタグしか作る気はねえ!間違っても別の名字のが欲しいなんて言ってくんなよ!」 「…はい?」 「でなきゃ制服ダメにしたことバラす!」 突然何言い出すかと思ったら… ちょっとリーダー大人気なさすぎじゃね? リーダーの言っていることの意味を徐々に理解していけば 自ずとこみ上げてくる笑いは堪えられるわけなくて。 「ぶっ…はははっ、リーダー可愛い〜!」 「こらっ、笑うな!」 「俺の事好きすぎでしょ〜っ!!」 俺、ここでなら頑張っていけるよ。 って、早く健太君に伝えたくなった。

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