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望んだ愛

 そうだろうなと予想はついていた。  握りしめた携帯を置いて目立つようになったお腹をさする。  おめでとうとは言われない。  後ろ指は差されても手助けの手は延ばされなかった。  産まれた子どもは、α性の男の子だった。  小さく産まれたその子はとてもきれいな顔をしていた。 「彰(しょう)」  子どもの名前はショウ。アキとも読める漢字にした。  彰はαらしく壮健に育ってくれた。  1歳になる前に歩き出し、一間のアパートでは狭いくらいだったが、僕たちは幸せにつつましく生活していた。  彰はαを優遇して入れてくれる保育園には入れなかった。番のいない片親のΩは受け入れられないと断られたからだ。  近所の保育園では空きは無くてアパートから少し離れた保育園に預けるしかなかった。僕はアパートと保育園とは反対にある飲食店でバイトを始めた。 「すいません」  アパートの隣の住人から苦情が来てしまった。  保育園に入って環境の変わった彰が夜泣きを始めてしまった。  環境が変わってしまったせいだろう。  仕方なく彰が寝付くまで抱っこ紐で毎晩散歩に出た。  冬の寒空の下、彰が風邪をひかないように気を付けてぎゅっと抱きしめていた。 「彰、お前はいい子だよ」  抱っこされた彰はにこにこと笑ってその小さな手で僕の顔を触る。  思わず微笑みがこぼれる。 「今日も寒いから早く眠って」  眠ってくれればアパートに帰れる。あやしながら歩き続けた。  何時間も歩き、寝不足が続く。仕事中についうとうとして怒られることが多くなると風当たりがきつくなる。  夜に外に出ているせいで風邪を引いた彰が熱を出して迎えに来るように連絡が入ることも続いて、僕は仕事を失ってしまった。  新しい仕事先みつけなくちゃ。  保育園に彰を迎えに行くと、担当の保育士が僕が来るのを待っていた。 「今日はよくお昼寝されましたよ」

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