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運命の番
アキに番がいなければ素直に受け入れただろう。今のアキの言葉も嬉しかっただろう。2年間思ってくれていた、僕を忘れてなかったってそのことだけで僕は十分だ。
もう十分だ。
「すいません。僕帰ります。彰も寝ているからこのまま連れて帰ります」
アキには短い2年でも、僕には長い2年だった。
いろんなことが変わった2年だった。
今、この2年間に終止符を打つことができた。
「お送りしましょう」
沢木が立ち上がった。
「いえ、駅も近いし大丈夫です」
「お子さんも寝ているので送りますよ。お引止めしましたから、送らせてください」
沢木さんは立ち上がると僕のカバンを手に取った。
「俺も行く」
アキも立ち上がったが、「桐生様はダメです」と制した。
「『運命の番』というのですから、ここで待っていてください」
もしも、本当に運命の番なら番がいても発情してしまう。僕と2人きりになるわけにいかない。
アキは切なそうに目を細めて、「これが運命なら、俺は自分を恨むよ」と言って組んだ手に額を当てて下を向いた。
「行きましょう」
沢木に促されて、眠った彰を抱き上げてカバンとコートを沢木に預けて部屋を後にした。
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