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繋ぎ止める運命
「一緒にいたの?」
「違うよ。偶然だよ。すずから連絡があって保育園に迎えに行った後、小児科に行ったんだけど時間外だったからこっちに来たんだ、そしたらたまたま」
すずは、「いつみつかったの?」と確認した。
「この間、髪を切ってもらった日に偶然会ったんだ。本当に偶然だよ」
点滴はゆっくりと落ちてきてそれを見ていると気持ちも落ち着いてきた。
「それで? 彰のことは?」
「言ってない。番が、番がいたんだ。僕と出会う前に」
「それって、本気で遊びだったんじゃないっ」
「すず、ここ病院だよ」
すずは、「ごめん」と声を潜めた。
点滴をされながら彰は眠ってしまった。
「遊びじゃなかったんだと思うよ。『運命の番』だって。僕に運命の番だって言ってくれたんだ。彰も……泣かなかったよ」
寝ている彰を撫でる。
「運命の番って……でも、番がいるんでしょ?」
「うん。高校からの同級生で今も秘書として側で支えてる。見つからなかったのは海外で仕事してたからだって」
抑えていたのものがあふれ出す。再会して期待した。淡い期待はあっという間に打ち消されてしまった。
親しいすずになら心を許しているから甘えてしまっているのだ。
「ごめんね。大丈夫だよ。この間話をしてね。その番の人とも話をして、再会したことは忘れようって、互いに忘れてこれまで通りの生活をしようって話したんだ」
「そんなの、向こうの勝手よ。友紀が可哀そうだよ。彰ちゃんだっているのに。運命の番っていうなら友紀と番になったらいいじゃない」
「そんなことできないよ。僕より先に番になった相手がいるんだから。彰は僕が産むって決めたことだからいいんだ」
「認知は? 認知はしてもらった方がいいんじゃないの?」
首を横に振る。
「他に番ってない相手がいるって、言った。彰はαだから」
αの子どもは“欲しがる人”が多いから安易に教えたりしない。
「友紀、友紀がそこまで抱え込まなくてもいいじゃない」
「抱え込んでなんていないよ。困った時はこうしてすずだって来てくれるし」
彰もいる。
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