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繋ぎ止める運命
点滴が終わって、看護師からお大事にと言われて寝ている彰を抱っこ紐に収めて病院の廊下に出るとアキが待合室の椅子に沢木と一緒に座っていた。その後ろに智の姿もあった。
アキが待っていたことに驚いて後ずさる。
「大丈夫だったか?」
アキが立ち上がってすぐに声をかける。
「ええ。風邪だそうです。点滴を打ってもらったら落ちついてきて寝ました」
アキに答えたけど、後ずさる。
沢木は、「すいません。私と桐生のバース診療に来ていて鉢合わせに」と申し訳なさそうに返事をした。
「いえ、偶然ですから」
本当に偶然なのだ。僕は2人から後ずさる。
忘れようと言ったばかりなのに出会ってしまう。それは偶然だけど、必然を疑ってしまう。
「すず、ありがと」
持っていてもらったカバンを受け取る。
「智さんすいません」
智にはすずと関わらないで言われたばかりだ。緊急とはいえ呼び出すようになってしまって申し訳なさに謝った。
「すずは連れて帰ります」
智はすずをかばうようにして間に入る。
「智君、私は友紀に付き添って帰るから」
「いいよ。彰も落ち着いているから帰れる」
2人を断ると、「葉山さん、よければ私たちは車ですから送りましょう」と声をかけた。
「いえ、そういうわけには」
「子どもが熱があるんだ、遠慮は必要ない」
アキに言われて、「ほら、アキもそう言っているんだから」とすずが返事をした。
「その人は?」
急にアキと呼ばれてすずが、「ああ、従妹の鳴海すずです」と返事をした。
「あなた達バース性ですか?」
智が顔をしかめるようにして声を出した。
「ええ、αとΩです」
沢木は臆することなく答えた。αならまだしも、Ωが自ら名乗ることは少ない。
「アキってことは、友紀の番だろう」
「いえ、そうじゃないです」
智の質問に慌てて否定する。
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