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繋ぎ止める運命

「ごめん。もう、巻き込まないから。もう迷惑かけないから」  智はまだ興奮が冷めないのだろう息が上がっている。 「友紀。迷惑なんて思ってないよ。友紀は大事な私の幼馴染で従妹で、友達だよ」  すずは言いながら、「智君が迷惑に思ってるなら、私は智君と別れるっ」と智に叫んだ。 「す、すずっ」  慌てる智が、「ご、ごめん。そんなつもりはないんだ」と慌てて言い訳をする。 「この間実家に帰った時に結婚の話になって、Ωの親戚がいるってどこかで親が聞いて来て反対されたんだ」  智は申し訳なさそうにすずに話す。この間結婚を前提にと話してくれていたから、そのことだろう。 「そんなこと私聞いてない」  すずが言い返す。 「だから……」 「私は私だし、Ωもαも関係ないっ。友紀だって彰だって関係ない。私は2人が大好きだし、大切に思ってる。だから、智君にも話したし、智君だってそう思ってくれてるって信じてたのにっ」  ワッと泣き出したすずを智が慌てて、「俺も思ってるよ。だけど、だから、悔しくて……」と続けた。 「俺だって、すずが大事に思ってることは分かってるよ。友紀が頑張ってるのも分かってるけど報われないのが悔しいんだ。すずから聞く話はどれも理不尽で、Ωってだけで蔑まれて、ひとり親ってだけで保育園も預かってくれないし、仕事も……もっと幸せになっていいって俺は思ってるのに」  智は言いながらすずを抱き寄せる。  すずと同じに智も優しい。優しいから僕の代わりにこうやって泣いて、かばってくれる。  甘やかしてくれる。 「ふたりともありがとう。僕もすずが大好きだよ」  だから喧嘩はしないでほしい。すずには幸せになってほしい。 「すいません。友紀。迷惑になんて思ってない。この間も……、周りから攻められてちょっとナーバスになってたんだ。ごめん」  智はそう言って、「ああ、でも、あのアキって人にはもっと言ってやりたい」とつぶやく。

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