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繋ぎ止める運命

 運命を……『運命』をなしにして、バース性じゃなかったら僕はアキに惹かれることはないかもしれない。  彰だって産まれなかっただろう。  アキのことはほとんど知らない。  アキだって僕のことはほとんど知らない。  アキには沢木という番がいる。アキに惹かれ、慕っている番が僕より先にいるんだ。  沢木が自分が引くべきだといったけど、引くべきは僕だ。 「僕は、彰がいればいいよ」  小さな手が僕のほほをぺちぺちと触る。そのムニッとした短い指がかわいい。スマホを取り出して写真を撮る。何百枚のもの写真が保存してある。動画もたくさんだ。  これは僕と彰の生きてきた記録だ。そこにアキは一枚もない。  スマホをいじっていると急に着信が来て驚く、「はい。ああ、すず」と返事をした。 『彰は? よくなった?』 「うん。大丈夫。熱も下がった元気だよ」  仰向けになったまま彰は乗ったまま遊んでいる。じっとこっちを見てスマホを触ろうと手を伸ばすから、「彰、彰、ちょっと待って、すずごめん」言いながら彰を降ろして彰におやつを渡した。 「お待たせ。彰がスマホを触りたがるから」 『あの後どうなったかなって思って』 「うん。ごめんね。心配かけて。あのあとアパートまで送ってもらって、『誰の子』か聞かれたんだけど、でも僕前にパートナーいるって嘘ついた。事情があって番えないって」  きっと気が付いてる、ごまかしてもごまかしきれていない。 『それで?』 「明日、迎えに来るって。それでまた話し合って……。あの沢木さんって人がアキの番なんだよ」  病院で会った沢木のことを伝えると、「全然番っぽくない」とすずが膨れた声をだした。 「番っぽいってなんだよ。沢木さんは『愛されてない』って言ってたけど、アキは番だって紹介するくらいだから認めてるんだよ」  仕事のパートナーとしても側に置いているんだから、沢木が愛されていないと言っても十分な愛情だと思う。それに、番になるには発情期のセックス中に項を噛む必要があるから関係はあるってことだ。 『でも、『運命の番』って言われたんでしょ?』 「そうだけど、僕は彰がいれば十分だよ」  話せば認知はしてくれるかもしれない。認知さえしてもらえればαを受け入れてくれる保育園にも入れるだろう。 『それがままならないから心配してるの。アパートは?』

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