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甘い契約
運命の番と認めて、彰を子どもだと告げて……。
引っ越しや彰の戸籍、アキの仕事や沢木の仕事、色々な事が一度に続いて目まぐるしく日々が過ぎて行く。
彰は激しかった人見知りも夜泣きも急に収まってすぐに彰人に懐いた。
α同士とか父親であるとか、本能的な繋がりがあるのだろうと納得するしかなかった。
アメリカでの生活が主な彰人。日本には仕事でしか訪れないせいで家もない。僕がアメリカに渡る事になって手続きが必要になった。
番契約とは違う戸籍上の夫婦になる必要があって、婚姻届も出した。
彰の戸籍も父親の欄を埋めて戸籍を作り直した。
彰人の両親は日本に住んでいて、彰と沢木と四人で挨拶に行った。
沢木の実家にもあいさつに行った。
僕の叔父の家にも行った。
すずと智にも会って番になって海外に行く事も話した。
……だけど、まだ番っていない。
2人で過ごす時間はとれていない。
アパートを退去させられた僕のために借りたマンションでも、彰人は忙しくてホテルで生活していたし、来る時には沢木も一緒だった。
番うには発情期である必要がある。
発情期が来ていなくても彰人が近くにいれば甘い匂いに惹かれてしまう。
それも気遣って彰人は僕と2人にならないように気をつけている。
沢木との番契約は解消された。解消されるショックで気が触れてしまうΩもいると言われているが、沢木はすぐに秘書として仕事に復帰した。発情期は再開するし、一生発情期は続くけど、彰人の秘書として側で今後を保証する約束をした。
アメリカには番になってから行く事になっている。
フリーのΩが襲われない為にも、お互いのフェロモンしか感じないようにする為にも渡米は待つ事にした。そのせいで彰人は余計に忙しい。
僕はマンションに彰と2人で過ごしていた。
度々沢木はやってきて彰と遊んでくれて、彰もすっかり懐いてしまった。
元番として蟠りができるんじゃないかと心配していたが、彰人の態度は全く変わらず、沢木も変わらなかった。僕も沢木のさっぱりとした性格に驚きはしたが、すぐに打ち解ける事ができた。
新しく契約したスマホに連絡入って彰人が夜に来る事は聞いていた。
彰と買い物に行って夕飯を作る準備をしている時だった。
いつもと味覚が違うなと感じて途端に寒気を感じた。
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