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2.美しい獣人族の青年 *
「見つけた、おれの花嫁…!」
それは、美しい顔をした獣人族の青年だった。
(なんて綺麗な顔なんだろう)
パーツの良さも配置も、ハルが知るどんな芸能人やモデルよりも優れていた。
その美しさに見惚れていると、ずかずかと歩いてきた彼はぱっとハルの両手を取った。
「ねえ、おれのお嫁さんになって」
「は…?」
(なんだって?なんて言ったこいつは?)
(およめさん…?)
ふわりと風が吹いて、かぐわしい花の香りがハルの鼻を撫でた。
今まで一度として嗅いだことのない、甘い花の香り。
それを嗅いだ瞬間、ハルの身体がどくんとうずく。
(えっ!?なに…!?)
「名前なんていうの?おれはユキだよ」
青年からふわり、ふわりとたち登ってくる甘い香りが肌にまとわりついて、頭がくらくらする。
(……からだが、熱い…!!)
どくん、どくん、どくん。血が巡る。においが、甘いにおいが…
くらり、くらり。
大地が揺れているかのように膝ががくがくして、立っていられない。
甘い甘いにおい。
酒に酔ったように顔が熱くて…
じわ、と股間が濡れる。
(…!?濡れ…!?)
オメガであるハルは、その感覚に覚えがあった。
(どうして!?発情期はまだまだ先のはず…)
あまりのことに気が動転して、とにかく差し出された手にすがりついた。
すがりついた先は、甘いにおいのする青年だった。
「どうしたの?大丈夫?おれの花嫁」
ハルを抱きとめる、優しい優しいテノール。
きもちいい。
ずっと聴いていたい…
「…っはぁ…!ねえ、君、すごい、いいにおいするね…」
きつく抱きしめられる。
どくん、どくん、どくん。
青年の心音が伝わってくる。
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