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7.なんでおまえがここに?

翌日、カフェにて。 淹れたてのコーヒーを傍らに、ハルはpcに向かっていた。 店内にはおしゃべりに興じるカップルやpcやタブレットに向かうサラリーマン、試験勉強中らしき学生たちで賑わっている。 このカフェはアパートからほど近い立地にあり、ハルはレポートが煮詰まったとき等に重宝していた。 お気に入りはプレミアムコーヒーとクラシックプリン。2杯目以降、100円でコーヒーのおかわりができるのでとても嬉しい。 気分転換に出てきてよかった、と思う。 ひとりで狭い1Kの部屋でPCをカタカタ弄っているのもなんだか気が滅入ってくる気がして… コーヒー豆を焙煎するかおりと、適度な騒音… それらがハルの集中力に一役買っていた。 (よかった、報告書のまとめも順調だ) (そろそろ3杯目頼もうかな…) そのときだ。 「ここ座っていい?」 ハルの目の前の椅子に、男の手が掛かる。 席は他にも空いているのに、だ。 急に視界に割り込んできた男にハルがムッとしてなにか文句を言うまえに、テーブルの向かいに腰を下ろしたのは… ユキだった。 「は!?おまえなんでこんなところに…!?」 「なんでって…ハルを追ってきたんじゃん」 「はあ!?」 当たり前のような顔をして犯罪まがいのことを言い出すユキに、ハルも二度目の大声。 ユキはここから遠く離れた獣人保護区にいるはずだし。 今日この時間、この場所にハルがいるなんて誰にも分からないはずなのに。 旅行という可能性を加味しても、ふたりがここでバッタリ出食わすなんて…?天文学的な数字だ。 「えっなに…おれのストーカーなの?」 「ストーカーってなに?」 「おまえみたいに、誰かが誰かに付き纏ってることを言うんだよ💢犯罪だからな」 「犯罪?運命の間違いでしょ」 全然何も分かってなさそうな澄まし顔の美丈夫。 凛々しい眉毛、長いまつ毛、仕立てのいい服装。 花の二十四年組やクランプの少女漫画に出てくるような、整った顔立ち。 (くそっホントに顔がいいな…!) 造形美にムカつきつつ、睨みつけるハル。 「んへへ!やっと会えた〜会いたかったよ俺の花嫁!」 「花嫁じゃねえって」 「…じゃあ花ムコにする?」 「うるせえな」 アイスキャラメルマキアートをちうちう吸って「おいしいこれ!飲む?」とハルに差し出してくるユキ。 「飲まねえよ」 「……ねえ、なんか怒ってる?」 「……………はぁ〜〜〜〜〜……………」 逐一説明するのが面倒くさすぎてもうため息しか出ない。 (なんだこいつは) (獣人通り越して宇宙人じゃねえか) 髪と同じ色のモフモフの耳も、綺麗に横に流れる目尻も、金色の瞳も、薄い唇も、全部ぜんぶ完璧なのに、中身がどうしようもないKYちゃんだと……あの常識人そうな王様はさぞ手を焼いたことだろう。ていうかこの前テレビインタビューにスパスパ答えていたスーパー人格はどこ行ったんだよ!

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