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12.バスルーム

ユキが滞在しているというホテルの部屋に着くなり、ハルはバスルームに押し込まれた。リビングくらい広いバスルームはぴかぴかの白大理石でできていて、窓側にドドンとデカい円形の風呂があるのを見てハルは「えっ」と仰天する。一体地上何メートルの階なのか、窓の外はとんでもない眺望と青空、ジオラマみたいな都会の街並みが見下ろせて、こんな光景はハリウッド映画でしか見たことがなくて狼狽してしまう。 (こんなところで風呂入ったら外から丸見えじゃん!?) (…って、下からこっちを見上げたってなんも分からないだろうけど💦) 色々と不安になってしまう光景に、ハルは身体を隠す布をぎゅっと胸元へたぐり寄せる。上はトップスを着ているが下はこの大判ストールのような布一枚だけだ。路地裏で散々汚れてしまったズボンとパンツはあの場で脱ぎ捨てて、老執事が用意してくれたこの布一枚だけを巻いているのだった。 「な、なにこの景色…すごいんだけど……」 「うん」 いつのまにか獣型を解いてヒトに戻ったユキがバスルームに入ってくる。ユキはなにも身に付けていない裸の状態で、局部を隠すことなく白大理石を素足でぺたぺたとこちらへ歩いてくる姿にハルはビビる。 「お、おまえ服は!?」 「オオカミんときは服着られないから脱ぐの」 190cm超えの身長、伸びやかな手足。獣型のときに騎乗して感じた、毛皮の下で隆々と動くぶ厚い筋肉はそっくりそのままヒトの姿にも現れていた。無駄な脂肪ひとつない健康的な肉体と、盛り上がった胸筋、美しく割れた腹筋に驚嘆する。華奢なパーツの多いハルとは全く違う。体毛の少ないなめらかな裸体に対し、尾てい骨から生えたフサフサの尻尾が印象的で、彼はヒトではない別のものだという事実を知らしめていた。 ユキはづかづかとハルのそばへやってくるとハルの身体を隠している布をおもむろにむんずと掴んで脱がそうとする。 「えっ、な、な、なに!?!?」 「なにって、お風呂入んなきゃでしょ」 「いや自分で脱げるし!?!?」 「手伝う」 「いやいやいや!?」 暴漢に襲われて色々消耗したハルのことを思ってなのだろうが、素っ裸のユキに見ぐるみを剥がされそうになってハルは必死に抵抗する。じゃれあいのような攻防戦をしながら、ハルはユキの下半身のモノが茂みの奥でぷらぷらと揺れているのを見てしまい、げえ…と思う。男のちんこなんて1日に何本も見たくない! 「こんなところで宇宙人思考発揮すんなよ!」 「うちゅうじん?」 「いいから!風呂はひとりで入れるから…っておい…!」 体格差に負けて腰に巻いていた布を取り上げられるとハルの下半身が露わになり、とっさに局部を隠した。ついさっきまでアルファに暴漢されていたのだ、もしかしてこいつもオメガを欲しているのではという恐ろしい思考が浮かんだ。 「っ……!やだ……!!!」

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