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19.起きると全然かわいくない ***

さっき見たときより明らかにデカくなっているそれ。へそ天で無防備におっ広げた後ろ足の間、毛の生えた皮の先端からちょんと頭を飛び出させたそれはヒトのペニスとは違い、皮膚もなくただ赤黒くグロテスクな色をしていた。ハルはぎょっとして内臓でも出てきてしまったのかと一瞬うろたえたが、よくよく考えてみれば陰茎の皮から出てくるものは陰茎以外あり得ない。常時皮に守られている犬科のペニスはヒトのように皮膚で保護する必要がないので、このような形状をしているのだった。 (うわ…エグい…!!) 獣人族専攻の院生であるハルは、見慣れないそれをしげしげと観察してしまう。知識としては知ってたけど、本物はかなり見た目がエグい。 (…朝勃ち…するんだ…) 犬の朝勃ちなんて聞いたことがないけど、いやいや… ハルも立派なオトコノコであるので、どうしても興味を隠せない。呼吸にあわせてひくひくと動くソコの下にはごろんごろんと立派な睾丸も見られるし、本当にオスとして申し分ない遺伝子を持った逸材であるのだろう。メス犬なら喜んで尻を差し出すような…ってナニ考えてるんだよって。 ヒトの二の腕ほどもあるソレはまだ大半が皮に覆われていて、ハルはついつい興味半分に手を添えて、ずず…と皮からソコを露出させてしまう。 (エ、グ…!!) その先端は、エラとカサが張ったキノコ型のヒトの亀頭とは違う。万年筆の先のように斜めになっていて、言葉は悪いが、メスの内側へ非常に挿入しやすそうな形状である。 ほとんどの四つ足の獣は陰茎骨を持つ。犬科も例に漏れず、完全勃起していなくとも挿入できるよう陰茎骨があり…陰茎骨……骨…あ、あっ、これ…かな………結構かたい…芯があるってかんじ……… 直接触診して陰茎骨を探ってみると、たしかにかたい筋肉のような骨がある気がする。 (ふむ…なるほど) 皮はまだたるみと余裕があって、ハルが手で滑らせるとペニスの形に沿って伸びたり縮んだり。 (へえぇ〜〜…すげえ…) (って、うわ!?なんか汁出てきた!!!) 臓器のように赤黒いグロテスクな獣のペニスの先端からじゅわじゅわと透明な汁が漏れて、ハルは驚いて手を離した。獣の腹の上にぶるんと立ち戻ったペニスはひくひくとうごめいて、モフモフの毛をびちゃびちゃと汚した。 (え、え!?なに!?) (なにこの透明な汁!?射精…!?っぽくはないし、、さ、先走り…?) これ以上は、ハルの知識の及ばない範囲だった。 ハルも自慰中にひどく先走りを漏らす。だがこんなに量は……… 「うわっっっ!!!??」 「……なにしてんの」 ぐるんと視界が一転する。 ベッドに仰向けにひっくり返され、目に飛び込んできたのは金色の目を轟々と光らせるユキだった。 獣の姿を解いたユキは裸だ。モフモフの濃い毛皮を纏わない、滑らかな肌を持つヒトの二の腕。獣型のときの毛色と同じ濃色の体毛。 人型に戻ったユキはハルの顔の両側に手をついて覆いかぶさるようにしてハルの顔を覗き込んでくる。威圧してくる。なまじ顔がいいだけに無表情だと迫力がある。 美しい顔をしたはだかの男にまじまじと顔を覗き込まれ、ピンと立った獣の耳がハルの一挙一動に注目していて、ハルは相手が寝ている間にイケないことをしていたことを急速に自覚して慌てる。 ささやかだが太い胸毛と、存在を主張する茶色く丸いふたつのオスの乳首がハルの視界に飛び込んできて、とっさに顔をそらす。自分でも顔が真っ赤になっているのがわかった。 「わ、悪い…!」 「朝からこんなことして…襲われたいの」 「ぁ、ひ…う!待って、ごめんって」 逃げられない状況で首筋に鼻を埋められ、すうぅ……と匂いを吸われる。たくましい骨格と筋肉の厚み。超絶イケメンのハダカの男に覆いかぶさられて、"行為"の始まる予感にぞくぞくしてしまう。 「ア、まて、待って…!!」 ぴちゃぴちゃと首を舐められて、身体がビクつくのが止められない。 「誘ったのはそっちでしょ」 「さそってなぁ…!お、おまえが、朝っぱらからちんこ元気にしてっから…!」 「うん」 「うんじゃねぇよバカ、ぁ、くそ、やめ、やめろってぇ……!」 にゅるん、と固くてヌルついているナニかが足に擦り付けられてぎょっとした。獣型のときに溢れた先走りがヒトの姿になってもソコに残っていて、完全に勃ちあがったソレがぬらぬらと濡れて光っていた。その凶悪なデカさ。オメガとアルファである以上、この先、それを受け入れることになるのは自分なわけで…そう思うとそのデカさが恐ろしかった。

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