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20.カーラー ***

「はぁ……ハル、すき…かわいい……」 「ぅ、う……ァ、!」 「すき…すき……」 金色のはちみつみたいにトロトロに溶けた目で見つめられてそんなこと言われると胸がキュンキュンして、尻穴を締めていないと股の間からいやらしい液が溢れそうになって、ダメだ。 服の隙間からするりと大きな手が入りこんできて、腹を愛撫される。愛を感じさせるような優しい手付きが逆に卑猥で"からだを求められている"ことを如実に感じてしまう。撫でられ、身体が触れ合うだけでこんなに乱れてしまうのに、これ以上なにかされたら自分がどうにかなってしまいそうで怖い。 (まだ、こころのじゅんびが…!!) 「ねえ、やっぱり、ともだちにはなれないよ…ハルのこと思うだけでこんなになっちゃうんだもん」 たぎる欲を抑え込もうと、ハァ、ハァ、と辛そうに喘いでいるユキを見ているとハルも『そうなんだよな』と同意してしまう。自分だって考えるよりさきに心や身体が反応してしまって、到底『ともだち』なんて括りでは済ませられない。『友達からお願いします』など土台無理な話だったのだ。 だって、こんなにも繋がりたい。 首筋をぴちゃぴちゃ舐められながら、乳首を探り当てられる。敏感になって立ち上がった粒を指先でぐりぐりと潰された瞬間ハルは「んああ!」と鳴いていた。 (なんだよ今の声…!!) ひとりでする時だって胸は弄らないのに。こんな所で感じるなんてオンナみたいで嫌だった。 「そこっ触んな…!」 「なんで…」 ユキにきつく抱きしめられて乳首を弄られる。足のあたりにかたくて濡れた熱いものが当たった。ユキの興奮度合いを具現化したソレ。 (こんなに大きくしてる…) 同じ男であるので、そんな状態になったソレを擦らずにいるのはどんなに切ないか分かる。だからこそ今のこの状況がどんなに"危険"なのかわかってしまい、逃れようとするが抱き締められているために逃れられず、弱い乳首をこりこりと弾かれてたまらない気持ちになる。 「だってこれきもちいいときの反応なんじゃないの…」 「きもちっ、よくないっ!」 「痛い?」 「いた…いたくはない、けどっ!あたまへんになるっ」 「うん」 「だからぁ、うんじゃないって、ばぁ…!!あ、あ、ィ、ィイ"イ"イ"……」 状況に流されたくなくて声を我慢するあまり全然可愛くない声が出てしまって、恥ずかしいからマジで乳首触んないでほしい! 逃げようともがいてもガタイのいい獣人に腕力で抱きしめ押さえ込まれて逃げられない。 「んふっ、ひひひ……!」 「?」 オメガとはいえ一応ちゃんと男としてのプライドはあるので、条件反射的とはいえ男に触られて"感じて"しまうのが恥ずかしすぎて苦し紛れに笑いで誤魔化そう、そしたらこいつも萎えるんじゃないかな、みたいな謎思考で笑ってみるものの、 「ひひひひ、ァッは、ア!あぅぁッ!ぃ、、っ、まって、ちょっとまってぇ……!」 (このバカ犬!!!!!) やっぱり胸を触られて舌で愛撫されると、びくびくと反応してしまうのだった。でもかわいい声で鳴くようなキャラじゃないし…他人に性的に求められるのが初めてすぎて、どうしていいのかわからない。男に触られて感じてしまう自分を認めたくないのも気持ちもどこかにあった。 「んあ、う!?」 急に、うなじを保護するカーラーの隙間に長い舌がぞろりと侵入してきてハルは悲鳴をあげた。そこを噛まれるとつがいが成立してしまう、他者に絶対に触れられたくない、触れさせたくない所。ハルのオメガの本能が恐怖を感じて悲鳴をあげた。 「うなっうな、うな、うなじっは…!」 「うん」 ぶわ、と涙が溢れた。 頑丈にうなじを保護しているはずのカーラーが獣人の顎の力に勝てるとは思えなかった。感情がぐちゃぐちゃになって、怖くて怖くて、本能が逃げなきゃと叫んでいた。パニックになってシーツを掴んで這って逃げようとして、ひう、ひう、としゃくりをあげてしまう。 噛まれると思った。噛まれて、つがいとかいう関係を結ばされて、孕まされてしまう。おれの意地をねじ伏せて。 だがそれ以上ユキが強行してくることはなくて、ただカーラーの内側の肌を長い舌でぴちゃぴちゃと舐められる。それが恐ろしかった。なにを考えているのかわからない獣人が恐ろしい。 逃げようともがいてもガタイのいい獣人の腕力に押さえ込まれて逃げられない。背面座位のかたちで裸のユキのあぐらの上に乗せられ、ぺちゃぺちゃと首を舐められ唾液まみれにされる。空いたほうの指で手持ち無沙汰に乳首を弄られて、触られ続けて腫れ、痛みすら伴うようになった快楽をただ耐え忍ぶだけ。怖いのに、痛いのに、恥ずかしいのに、それすら興奮材料にしてしまうオメガの性が憎らしかった。獣人の立派なペニスに比べれば赤子のように小さい自分の性器は、天を向いて切なく揺れている。 「ひ、ひぁっ!ひ、ひ、はぁッ、ァう、!」 ひとしきり舐めて、鎖骨をべろべろと舌で辿り、こわばって縮こまったハルの肩峰を唾液でべちょべちょに濡らし、また首に戻ってくる。 「このへんが一番いいにおいする」 「ひぅっ、ひっ、にお、におい……?」 「ハルの匂い…俺、これ好き。安心する」 耳の下からうなじに掛けて、フンフンと匂いを嗅ぐ。ユキ自身の唾液で濡れたそこはもはやユキの匂いしかしないだろうに、獣人の嗅覚だと識別できるのだろうか。 信頼関係のステップを何段も飛ばし、オメガが本能的に恐れ、そうでなくとも第三の性を持つもの全てにとって禁忌ともされるうなじを"舐めたい" "嗅ぎたい"という理由だけでねぶってくる獣人。ユキのその動物的な部分が優った欲求が不思議でもあり、妙に納得する部分もあった。 いずれ"誰か"とつがうなら、この身体の奥底から湧き上がってくる手足が震えるほどの恐怖も一種の通過儀礼であると受け止め、ユキのその動物的な無礼も享受してやりたくなる。 腫れて敏感になった乳首が節ばった指に無遠慮に強く押し潰され「ンァア!」と鳴いた瞬間こぷ、と上向いた性器から先走りが漏れた。 しかもそれを「いま出た?」と嗅ぎつかれて、ぺろんと服を捲られ、勃ちあがった性器を目視されてますます恥ずかしくて死にたくなる。 「かわいい」 「ア!ぁ、ぁ、…!!!」 一滴漏れた先走りを指ですくって亀頭に塗り広げられ、ぬちぬちと水音が鳴る。背面座位の形をとっているので、ユキの長い指が自分のペニスを掴んでいることも、指で塗り広げられて気持ちよくされていることも、ぜんぶぜんぶ見えてしまう。

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