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22.こいつがおれの運命 ***
イきたくない、イきたくない。
すぐそこまで来ている絶頂感に必死で抵抗しながら、深いところへ差し込まれてナカをぐちゃぐちゃにかき混ぜる指に翻弄され、どぷりどぷりと愛液をこぼす。充血して腫れたようになった尻が熱くて、すっかり緩みきって"準備"が整っているのが自分でもわかる。もっと固くて強いものがソコに欲しくて、もっともっと深く繋がりたくて。
泣きながら乱れていく自分を見られたくない。気持ちよくて歪んだ顔を、恥ずかしくてぼろぼろと溢れていく涙を両手で塞いで隠していたのに、ふいにその手を取られて、視界にユキの姿が入り込む。
その、ギラついたオスの顔にぞくりと身体が震えた。
「ぁ、ァ、ぁ……」
快楽にトロけて緩みきった自分の顔と、欲情に突き動かされている猛々しいオスの顔。
轟々と燃える金色の光に魅せられて、動けない。気付いたら接吻を交わして、口内をぐちゃぐちゃに犯されていた。その激しさに息もつけない。息ができない。掴まれたほうの手に熱くて硬いものが握らされ、それがナニか分かった瞬間、その太さと強さに驚嘆する。自分のモノとは比べ物にならないほど大きく張り詰めた性器を握らされ、その手のうえに重なってきた手により扱かされる。
互いのモノを扱き合い、めちゃくちゃにキスをして。
こんなに大きく勃たせているのに、愛液をこぼすオメガのナカに挿入(はい)りたくないはずがない。ユキも我慢しているんだと思うとたまらなかった。
子宮がキュンキュン疼いて、ほしいほしいと鳴いていた。
考えるより早く、"その"言葉が口をついて出た。
「な、なか………つかって、いいよ……」
(ナニ言ってんだよおれ、そんなことしたら…)
発情期ではないオメガは着床率が低い。しかしオメガのナカに入ったアルファがどうなるのかは知らなかった。気持ちよさに気が狂ってラットに入り、自分もヒートを誘発するかもしれない。この部屋に避妊具(コンドーム)があるとは思えないし、そうでなくともナカへ出された精子がしばらく膣に留まり、ヒートが訪れた時に妊娠してしまうかもしれない。
それでもいいと思ってしまうくらいには、ハルも限界だった。
だがそう言った瞬間の切なげに歪んだ獣人の表情を見て、言ったことをすぐに後悔した。
そう、アルファがオメガのナカへ入りたくないはずがないのだ。
「………こんぜんこうしょうはだめ…」
婚前交渉。ユキが言った言葉をゆっくりと反芻する。思ったのは、本当におぼっちゃまなんだな、ということ。
例えば付き合って間もないカップルがラブホテルへ行くのはごくごく普通のことなのに、こいつは、この期に及んでそんなことを。ヒートを誘発しかかっているオメガを前にして。
(…じゃあ、結婚したら………?)
そう思ったとき、すべてわかってしまった。
暴漢に襲われた時に感じた嫌悪感の理由も。
ユキのにおいがこんなにも琴線に触れる理由も、殴りたいほど憎らしくなる理由も。
こいつの不器用な人柄の奥にある優しさを"分かって"しまう理由も。
だめだ。
「う、う、…ぅ………」
「ハル…?」
好き。
どうしようもなく好き。
無意識下では気付いていたのに目を背けていたこと。そんなはずないって、そんなことは絵本のなかで起きない夢物語だって、頑なに認めないフリをしていたのに。
オメガに泣かれて情けなく眉尻を下げるこの超絶顔のいいバカ犬がおれの"運命"なんだって、気づいてしまった。
「ねえどうしたの、泣かないでよ💦💦」
「うぇ、うえ、、ふぇぇ〜〜……」
変なの。
魂のつがいに会えるって、こんなに嬉しいんだ。嬉しくて嬉しくて、幸せで。溢れた感情が涙になって、ぽろぽろとこぼれていく。
「そ、そんなにいれ、挿れてほしかったの…?ごめんね💦💦💦💦でもこういうのはちゃんととーちゃんとか城のみんなに報告してけっこんしきとか色んなこと済ませてからじゃないと💦💦💦」
「ぐすっ……違ぇよバカ………!」
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