産み分けの科学的根拠は無い。 それにもかかわらず「産み分け可能」と言われている方法がある。 胎児の性別は、卵子（X染色体を持つ）に、X染色体とY染色体のどちらを持つ精子が受精するかによって決まるため、Y染色体を持つ精子が優位になるように準備を整える…というのがそれだ。 ・Y精子(男)はアルカリ性の環境で生き残りやすい ・X精子(女)は酸性の環境で生き残りやすい ・膣内は通常、雑菌の侵入を防ぐために酸性になっている ・オーガスムに達すると子宮頸管から強いアルカリ性の液が分泌され、膣内が酸性からアルカリ性に傾く …上記の性質を利用し、男児を願うのであればオーガズムに達するよう時間をかけたセックスが奨励されている…らしい。 だから… 昨晩も、たくさん愛された。 『きもちいい？』 『ハルのここ、ぐちゅぐちゅになってる…』 気がおかしくなるほど指でトロかされるのに、まだ、本当に"欲しい"ものは貰えていない。 なぜなら… 『禁欲するとY精子が増えるんだって』 『ほんとにエッチするのは、発情期が来てからね』 どこで情報を仕入れたのか。ユキはそう言って、ハルを気持ち良くするだけで挿入はしないという約束をした。 それなのに、毎晩のように続く性開発。 焦らされる日々に、いい加減ハルのほうが参っていた。 ハルがカーラーを外したことにユキは気がついただろうか？ いつだったか『このへんが一番いいにおいする』『ハルの匂い…俺、これ好き。安心する』と言っていた場所。(20話) あのときは、カーラーの内側を見せるのが恐ろしかった。 だがいまは… 「おまえもう身体洗ったの？」 「うん」 「早すぎじゃん」 「そう？」 なんてことないフリをしながら、シャワーコックをひねる。 頭からシャワーの熱い湯を浴びる。 髪に湯をなじませて… その手をしたへ滑らせて、うなじを撫でる。 カーラーで隠していないその場所に、いまは"痛み"が欲しい。