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40.ひとりで寝たいのに

時刻は夜だ。 ダイニングルームで夕食を済ませ、ハルの部屋へ戻る途中。 キャンドルを模したライトで明るい城の廊下を、ハルとユキは並んで歩いている。 「メディア露出が少ないのを逆手に取って、うちの国の皇室アルバムみたいに獣人の生活を採り上げた番組を制作してみては?」 「いいね〜」 「金儲けになるかはわかんないけど」 「報酬は放送局次第じゃないかな…YouTubeチャンネル開設は?」 「いいね。あとは…獣人のブランド力を利用してどこかの企業とコラボした商品を出してみたらどうかな」 「いいじゃん!例えば?」 「例えば、それこそカルディエとコラボして香水を作ってみたりさ。獣人は鼻が効くだろ、だからいいかおりの香水が作れるんじゃないかなって思うんだよ」 「香水!いいねえ」 「売れる気がする」 「売れるさ」 「地下に眠らせてるガラクタの山とやらは、古物商に就職した友人に連絡してみようかな」 「言っとくけどマジでガラクタだよ。壺とか、木彫りの花瓶とか」 ふたりで未来のアイディアを語るのは楽しい。 城の長い長い廊下。 あれもしたい、これもしたいと話してるうちに、ハルの部屋の前へ着く。 (えっと………) 当たり前のようにハルにくっついて歩き、ハルが部屋のドアを開けるのを待っているユキ。 ぱたぱたとモフモフの尻尾が揺れている。 「お前の部屋はそっちだろ」 隣の、ユキの部屋を指差すハル。 「やだ。一緒に寝たい」 「やだって………」 つい先程まで王に謁見して背筋をしゃんと伸ばしていたのに… 急に親密な新婚の雰囲気を出されても困る。 「い、いや、今夜はひとりで寝たいから…」 城に来てから毎晩のように、ユキはベッドへ潜り込んでくる。 新婚なのだから床を共にするのは当たり前といえば当たり前なのだが… 気持ちいいことは好きだ。 でも、"最後"まではしてくれない、となると… (寸止めも、ここまでくるとキツいんだよ…!) 「えっ?ヤダヤダ!邪魔しないから!大人しくしてるから!」 「ッ!この前もそう言って…!!」 「そう言って、なに?」 「へんなことしてきただろ……」(小声) 「だって身体の感度を高めないと赤ちゃ……」 「わ!わ!バカ、声がでかい!!」 向こうの廊下にメイドの姿が見えて、慌ててユキの口を押さえるハル。 ついでに… ひとに聞かれてはまずいと慌てるあまりドアを開けて、ユキを部屋に招き入れてしまった。 (しまった…!) 「じゃあ寝る前にシよ?」 部屋に入るなり、抱きしめられる。 「っっ!?」 気丈に振る舞っていたハルだが… 腰のあたりに固いものをゴリ、と当てられると、素直になるよう調教された身体がたかぶってしまう。

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