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66.最後にひとりでシたのは?*

電話越しに、それぞれ、自分のものを触り合っている。 気恥ずかしさを紛らわすように、ハルはお喋りを続ける。 「お前は、ちんこしか感じねぇの…?」 『マスターベーションするときはペニスしか触らないね』 「イヌの時はどこ触っても喜ぶのに」 『まあね』 「っていうかお前もひとりですることあるんだな」 『するでしょ、そりゃ』 「そういや、最後にひとりでシたの、いつ?」 『えー、いつだったかなあ…覚えてない。とりあえずハルに禊を立てる前なのは確かだね』 「はは…」(乾いた笑い) 『あ、待って、思い出してきた…』 「おう」 『ええと、確か最後にシたのは、ハルと出会った日の夜…かな…』 「……は?」 『思い出してきた…そうだ、あの日ハルと出会って、この人しかいないってビビッと来て…』 「……おぉ…」 『あの日、うちの城で食事した後、すぐに帰っちゃったでしょ?でもハルのことが頭から離れなくて…その日の夜、三回くらい出した』 「三回!?」 『あっ違う!ハルと再開する日の前日だ!明日ハルに会えるんだって思うと居ても立っても居られなくて、五回…あ、六回かな?』 「……もうやめろ… ////」 今更明らかになった事実に、ハルは恥ずかしいやら、呆れるやら… 『ハルは?最後にひとりでシたのはいつ?』 「えっ」 まさか同じ質問を返されるとは思っていなかった。 (いつって…いつだろう?ええと、確か…国に帰った日、テレビニュースにユキが出ていて…それでこいつのこと思い出して…) (必ず迎えにいくから、覚悟しておいてって台詞にドキドキしちゃって、その後ひとりで……) その時のこと(五話、六話)を思い出して、ボンッと顔から火が噴きそうになるハルであった。 つまり、ユキはハルのことを、ハルはユキのことを想って、慰めていたのであった。 この酷い相思相愛バカップルっぷりに、我ながら恥ずかしくなる。 でも… (…嬉しい……) キュンキュンするのは、胸だけではない。ドキドキが下半身に直結し、ペニスが痛いほど固くなる。 『ハル?』 「…おう……」 『最後にひとりでシたのはいつか、教えてよ』 「…ナイショ」 『えっ』 「恥ずかしいから教えないっ」 『俺は言ったのにそれはズルいでしょ!』 恥ずかしくて言えない、ツンデレのハルくんである。 『それってつまり、覚えてはいるけど「言わない」ってことだよね?』 (やべ。墓穴掘った) 『じゃあいつシたのかは言わなくていいけど、なに考えながらシたのかだけ教えて』 「う…」 あの日(六話)、自分を見送りに来なかったユキを恨んで、嫌いで、でも忘れられなくて、ずっとユキのことを考えていた。 そんな時に偶然テレビのニュースで王子のインタビュー姿を見かけ、タガが外れたようにオナニーをした。 それまでヒートが来ても頑なに触れなかった後ろの穴に触れ、下品に自分の指を突き立て、潮を吹きながら何度も達した。何度も、何度も。 『…俺のこと考えながら、シた?』 「…っ、うん…」 『…そう。それならいい』 「………」 『良い子だね』

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