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大体、末っ子が、やっと、十三祝いを終えて。一段落着いている筈の、楠野帝邸が、騒がしいのは、何故なのかと。
考えるべきだった神羅は、溜め息を吐いた。
兄は…。
確かに、黄泉の國を統一する父親の後を継いで、君臨しているが。
一年の大半を、嫁ぎ先である夜叉帝で過ごしている為、黄泉の國へは、滅多に帰って来ない。
別に、彼は、それで良いと、思っている。
夫と…。
御子が、此処に居るのだから。
だが、問題は、目の前に居る母親。
隠し事をしている様子だが、後から、洗いざらい喋ってもらう。
「良かったですね、父上が神波(しんは)と、出掛けていて…」
母上の弱味は、末の妹。
それはそれは…。
愛らしく、可愛いもんだから、許嫁決めもしていない。
『箱入り娘に、なりますね』と、兄は言っていたが、正に、的中。
十三祝いを迎えたのに、社交場に、連れて行かないんだ。
脳内で、呆れてしまう神羅は、年頃の妹が、少し、哀れになってきた。
幼い頃は、母親にベッタリだが。
今は、父親と一緒に、仕事へ行くのが、楽しみとかで。よく、珍しい物を持って帰って来る。
以前は、魔界へ足を運んだらしく…。
有名な作家の足跡を辿ったとか、話してくれたのを、覚えている。
彼からすれば、父親が娘一人、歩かせるなんて、危険じゃないのかと、思った。
どんなに、慣れているからといって、安全って、訳じゃないのを、神羅は、知っていた。
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