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【漆津夜side】
「何時、読んでも、面白い。早く、新刊出ないかな」
風の波に乗って、僕は、楠野帝邸へ、向かっていた。そんな風に、漂いながら、落ちたりしないのだろうかなんて、神々が見たら思うかも知れないが。
落ちたりはしない。
特別な術を使っている訳でもなく、普通に空に浮いているだけ。
幼い頃からの癖だから、仕方ない…。
「あ!」
忘れる所だった。
黄泉の國へ、訪れたら。
是非に、連絡をと、言われていたんだっけ。
本を読んでいたから、忘れていた。
僕は、ズボンに入っていた現代道具ならぬ古代生物を出す。
最初…。
これで、連絡を取れるのか、謎だったんだけど。彼女が、にこやかに微笑みながら、渡すもんだから、受け取ってしまった。
まぁ。
これも…。
彼方の世界で、有名な腐皇女の話を聞かせてもらうための条件なんだけど。
「BLと、祖母様なら…BLが上。僕、自分の気持ちには素直なんだ。だから…祖母様、ごめんなさい。これも、孫の為だと思って、命を張って下さい」
背には、腹は変えられぬ。
これ、僕が、下界で、学んだ事…。
「説明書無しで、いけると、言っていたけど。古代生物とか、扱った事無いから、大丈夫かな?前に、蹄哉さんが、ぷしゅーって、なっていたんだけど」
手で、ムギュ-しただけなのに、潰れたというか。変な音が鳴っていたんだよね。
あれを聞いた瞬間、僕は未知なる生物を持つべきじゃないと、心に決めた。
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