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「実験って、何ですか?」
聞いてはいけない気がするのに、聞いてしまった。
「現代の神におけるデータ-が欲しいらしいんだけど。何せ、叔父達、鼻息荒くしてティーベル邸にまで来るもんだから、逃亡してみましたわ…」
「ー…現代の神におけるデータ-って」
想像した。
お嬢様の叔父達が、沢山の資料を持ちながらティーベル邸に押し掛けてくるのを見たら、きっと、気絶します。
ブルブェニの血筋は、何を始めようとしているのですか。
「でも、興味無い物を持ってこられても困るわ。私…現代の神に触れてはいけないという理由の元で見守っているの。それを、叔父達の研究を手伝ったら意味が無いと思いますわ…」
少し拗ねた表情をする彼女は、ワイングラスに入っていた赤ワインを一気に飲み干す。
確かに、興味が無い研究を手伝わされても、利益が無いと考えるのが、お嬢様だ。その、研究で何を得られるのか解らない分、慎重になるかも知れない。
「ですから、研究内容が気になります」
「『現代の神におけるデータ-が欲しい。研究テーマはレイナが決めてくれ』と、言われたので…放り投げて来ましたわ…」
「研究テーマなら、今の状況を題にしては如何ですか?折角“グリフォン”を出したのですから」
「嫌ですわ。あれは、彼の手助けになればと思い、渡した生物。名を与えた瞬間に紅い炎を纏う…。世界で一つしかない物ですよ。叔父の研究材料にされたくありませんわ…」
今、初めて聞きました。
紅い炎を纏う“グリフォン”なんて聞いた事ありませんわ。
凄く、貴重な物だと思います。それを、漆津夜に渡した、お嬢様の計らいが解りません。
現代の神に触れてはいけないのが掟なのは解ります。
故に、現魔王と接点を結ばせて、触れるのはアリだと考えたのは、お嬢様。
ちらりと、彼女を見れば。
何かを考えている様子。
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