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あまり研究内容が気に食わなかったのだろう。 普通に考えて、お嬢様に研究テーマを決めさせるのは、どうかと思いました。 「古代生物の扱い方には、色々ありますわ。例えば、夢霧が昔、育てた“グリフォン”。彼は、淑女が憧れる男性に育った。流石、夢霧が育てただけあり、立派だと思いましたわ。特徴は、蒼い炎を纏いながら舞を舞う姿。そして、兄様が育てた“グリフォン”は、紫の炎を纏い…。妖しげに誘う女性に育った。一方、私のは何故か、大きくなり過ぎて」 「…」 「元のサイズに戻らないのよね。魔界の空気に馴染んでいる分、少し変化し過ぎたのだと思ったのだけれど。理由は違うらしい。だから、敢えてそのままの特徴を生かしてみたのよね…。操るのは、炎だけじゃないのが判明。気候も、研ぎ澄まされた感覚さえも操れる。それは、嘗ての神々ですら味わった事の無いスリリングだと思うわ」 「随分と、立派に成長なさっていますわ…」 見せられた映像に、私は驚かされた。 その、お嬢様が育てている“グリフォン”。 アルザリ卿が飼っているペットみたいなんですが、気のせいですか? 「自由に育て過ぎたのかしら」 「…魔界に基準なんて存在するのですか」 長い間、気になっていた事を私は聞いてみた。 「基本、階級が物を言う世界だから。基準は『階級』かと思いますわ。だけれど、アルザリ曰く『昔は、もっと、厳しかったんですよ』と言っていましたわ。生物を育てる環境を整えるのも大変で」 魔界で生物を育てようとするのは、お嬢様だけです。 以前は、天界に居る生き物を魔界に持ち帰っていた。育てるのが難しいとされているのに、お嬢様は育てていた。 今なら、ムーンキングダムに存在する生物を持ち帰ろうとするんじゃないかと、ハラハラしていたけど。 それは、無いらしい。

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