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お嬢様の中で、ムーンキングダムに存在する生物は、持ち帰らない様にしているのかも知れない。 私としては、安心するのだけれど。 あの、成長姿を見ると、巨大化するんじゃないかと思い始めた。 魔界の環境に適した育て方で変わるのは、既に実証済みの筈。それを配慮した結果が、目の前に映る“グリフォン”なのだから、不思議。 『巨大な桃味のチョコレート』 「あら、意外に早い連絡…」 映し出されたのは、甥っ子に渡した古代生物。やっと、使い始めたらしい。 『黄泉の國の言葉を、どう覚えたのかを、今度教えて下さい』 「それ、貴方が“グリフォン”を上手く育てれば…習えますわ」 『叔母様!』 「久しぶりね。漆津夜」 私の顔を見た瞬間、彼は驚いた。 『お久しぶりです。只今、楠野帝邸に迎い中です』 「あまり遅いと、璃羅が心配しますよ」 宙に浮いているのは解りますが、貴方…。 手にしている本が気になるんですけど。 それは、下界から持参した物で宜しいのかしら。 黄泉の國に持ち込んで大丈夫なの? 『祖母様なら、大丈夫かと思います。それなりに品は持っているので』 抜かりないわね…。 流石、漆夜叔父様の子。 「それで、黄泉の國は、どんな感じなのかしら?さっき、桃味のチョコレートと言っていたけど…」 『荒野に刺さっていました。何でも、イザナミノミコトが棲んでいる場所だったみたいで、僕、唖然とさせられました』 「國創りの神ね。嘗ては、夫婦で作ったとされるのが現代の下界。凄く有名な話なんだけれど、契りを交わす時に彼等の上の神が行ったとされるシーンが印象的。私も、一度は見てみたいわ…」 『巡り逢いのシーンをですか?』 無理難題を投げつけていますわ。 お嬢様、巡り逢いの瞬間は。 一生見られないと思います。 あれは、イザナギノミコトとイザナミノミコトにとってのやり方であり。 お嬢様が見たら、魔界に取り入れそうなので止めて下さい。

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