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第59話 ※

避妊具をはめた指で、自らの中を広げていく。 ゆっくり奥まで入れて内壁を押し広げるように二本の指を動かしていけば、ぬちぬちと卑猥な音が薄暗い室内に響いた。 「ん、…」 いつぶりだろ、こんな事するの。 二年生になって色が転校してきて、飛鳥と三人で部活作って。次第に惹かれていく二人を目の前で見ながら、いつしか僕はこの行為に虚しさを感じていたから。 それなのに、どうしよう。指、止められない。久しぶりの行為に僕の後孔は拒むように圧迫してくるのに、それなのに目の前の人が欲しくて欲しくてたまらなくて無理やりに指を押し進めていく。 「はぁ、…っ、そ、しさんっ、」 途切れ途切れに名を呼べば、目の前の総士さんは眉間に皺を寄せ苦しそうに息を吐く。 「おま……っ、煽るのも大概にしとけよ、」 切羽詰まった声が鼓膜を揺らすのと同時に僕の腰を抱き身を寄せた総士さんは、噛み付くみたいに乱暴に唇を塞いできた。 「ふ、……んっ、」 再び舌を絡め合わせながら、総士さんの手が僕の身体を這う。腰から脇腹、胸へとたどり着いた指は、既にぷっくりと腫れた乳首を摘み上げた。 「んっ、ぁっ……!」 突然の強い刺激に思わず口付けを振り解き顔を背ければ、今度は耳元へ湿った熱い舌が差し込まれる。 「ひぁっ、んんっ…」 「ほら、手ぇ止まってんぞ。」 楽しそうに言われても、ふにふにと胸の突起を弄られれば意識をそこに持っていかれる。 ちゃんと窄みを解してその先に進みたいのに、ビクリと跳ねる身体は自分ではどうしようもなかった。 「も、イジワル。……ね、…は、やく、欲しい、からっ、」 「っ、お前な、」 縋るように見上げれば総士さんは眉間に皺を寄せ小さく舌打ちする。 「痛い思いしても知らねぇぞ。」 「んぁっ!」 指で擦っていた乳首をいきなりきゅっと摘まれ、僕の身体は思いっきり反り返る。総士さんの指はそのまま下へと降りてきて、後孔を広げていた僕の手に触れる。 「っちょ、」 「解しとかねぇと辛いんだろ?」 すでに僕の指が二本埋められているそこに、つぷりと総士さんの指が侵入してくる。 「っあ、…っ、だめ、」 「どこがだよ。」 狭い中を僕の指ごと無遠慮に掻き回されれば、堪らず声が漏れた。それはどう聞いても熱に浮かされ蕩けたもので、自分のものとは思えないくらいの甘ったるさに恥ずかしくなってくる。 「んあっ!……ァ、そこぉっ……!」 「あー、ここか。」 「だ、め……だってぇ……っ、んっ!」 ぐちゅりと音を立てながら中を探られてしまえばもうダメだった。 気持ちいいところばかりを執拗に攻め立てられて、さっきまであんなに苦戦していたのが嘘のように僕のそこは三本の指を飲み込んでいる。 「ふぅ、んっ……そ、しさんっ……」 もう、大丈夫だから。嬌声混じりに訴えれば、総士さんは僕の中からずるりと指を引き抜いた。その感覚にすら背筋がぞくりと震える。 快楽に滲んだ視界を凝らせば、先程欲望を吐き出したはずの総士さんのそこは既に腹につかんばかりに反り返り存在を主張していて、無意識のうちに僕は喉を鳴らしていた。 「はやくっ、ほしっ…」 「っ、待ってろ。ゴム…」 「ここ、入ってるから大丈夫。」 解していた二本の指を広げ、はめていたゴムごと入口を見せつけてやれば、総士さんは目を見開いた。 「っとにお前は、」 どん、と肩を押されて乱暴にベッドに押し倒される。片足を持ち上げ肩にかけられればそこは大きく開かれ、期待にひくついているのが自分でもわかった。 「そのままそこ開いてろ。加減なんてしてやれねぇぞ、っ、」 余裕のない息遣いが聞こえたと思った時にはずぷりと熱い塊が入り込んでくる。 「んあぁァっ!!」 「……くっ、」 圧倒的な質量と圧迫感。ずるりと侵入してきたそれに前立腺を擦られれば、背筋をびりりと快感が駆け上がって、まぶたの裏に火花が散る。 「ぁ、ア、…っぁ、まって、イっちゃ、た、」 「つ、ぅ、お前な、」 僕のそこは反り返って存在を主張したまま。出さずに達してしまった身体は侵入してきた総士さんをきゅうきゅうと痙攣しながら締め付けてしまう。 「どんだけ煽りゃ気がすむんだよっ、」 「うそ、っひあぁっ!」 肩にかけられていた足をぐっと掴まれて、僕の中に一気に猛りを埋め込まれた。イった感覚から抜けきれないままに、圧倒的な質量を持ったそれが僕の身体を割り入ってきて呼吸が止まる。 限界まで背をしならせて嬌声をあげる僕の身体を、総士さんは遠慮なしに押さえつけた。 「ア、…っ、あ、」 「おい、奥、入れんぞ。」 「む、りぃっ、」 ぐっと腰を押し進められれば、ありえない深さまで昂りが入ってくる。 うそ、これ、奥まできちゃう。 今まで感じたことの無いような場所を突かれて、あまりの刺激に身体が強ばる。 「力抜いてろ、」 そう言うなり総士さんは僕の首元に顔を埋める。そして次の瞬間、ずるりと途中まで引き抜かれた猛りがずん、と押し進められ、僕の奥の奥を貫いた。 「ひっ、あぁああぁッ!!!?」 「っ、は、すげぇな、」 最奥の入口をこじ開けられビクビクと魚みたいに身体を跳ねさせる僕の腹を包帯の巻かれた手がなぞる。 総士さんの形に膨らんだそこを外からも中からも刺激されて、もうおかしくなりそうだった。 「っ、動くからなっ、」 「えっ、まっ、て……まだっ……あァっ、ンあっ、あっ、」 静止の言葉なんて聞いてはくれない。 欲望に瞳を染めた総士さんは、抱えた僕の片足を爪が食い込むほどに押さえて引き寄せ、思いっきり身体を打ち付けてくる。 ぱしんっとぶつかり合うたびに、僕の口からは意味を成さない言葉が溢れ出す。 「あ、っ、んあ、っあ、…そーしさ、そーしさんっ!」 「っ、あきら、」 「そーし、さ、っ、すき、好き、っん、」 言い切る前に唇を塞がれて、口内に入り込んできた舌を必死に追いかけた。 「んんっ、んっ……!」 舌先が触れ合う度にぴちゃりと音が響いて、脳に直接響く水音に思考がどろりと溶ける。 繋がってる、この人と。 奥の奥までこの人でいっぱいで、満たされてる。 溢れてきた涙は快楽に浮かされたせいか、それとも嬉しさからか。溶けきった思考ではもう考える事も出来なかった。 ただ必死にしがみついて与えられる快楽を追って腰をふる。 互いに限界はあっという間におとずれた。 「あ、ァ、あぁぁあっ!!」 真っ白に染った視界に火花が散って、雷に撃たれたみたいな衝撃と快感が身体を突き抜ける。 最奥に打ち込まれた猛りを無意識のうちにきゅ、と締めつければ、総士さんがぶるりと身体を震わせたのがわかった。 「っ、あきらっ、っぅ、」 僕の中で幾度か小さく痙攣して欲を吐き出した総士さんは、そのまま僕の上に倒れ込むようにして力尽きる。 胸に感じる重みに僕はなぜだかまた泣きそうになって、誤魔化すようにその身体を抱きしめた。 互いに荒い呼吸を繰り返して、一言も発することが出来ないまま、ただ互いの温もりを感じて。 どちらのもかわからない心音がトクトクと早足で駆けるのを感じながら、僕達はしばらくそうしてベッドの上で抱き合っていた。

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