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18.服選び

朝からいつもの日課でもある服選びをしていると、ラナが突然扉の方に向かってお辞儀をして、それに習って他のメイドさん達も次々にお辞儀をし始めた。 不思議に思って僕も扉の方に顔を向けると、入口の縁に背を預けて立っているアデルバード様と目が合って、嬉しくて思わず顔が綻ぶ。 「会いたくなって早く来てしまった。服を選んでいるのかい」 「はいっ、いつも自分で選んでるんですけど、アデルバード様はどれがいいと思われますか?」 「そうだな、…1番好きな衣装はどれかな?」 1番好きな服って聞かれたら、やっぱり僕はここに来て初めて選んだ、あの銀地に金の刺繍の入った衣装が浮かんでくる。 僕には少し豪華すぎて、服に着られてるんじゃないかって不安になるけど、あれを着て歩くと元気を貰えるような、楽しくてふわふわした気分になれるから好き。 「これ、です」 僕が衣装を手に取ると、アデルバード様はしばらくの沈黙の後に耐えきれないみたいに段々口角をあげて、それと同時に彼は僕を服と一緒にその場で力強く抱きしめてきた。 途端、香ってくる彼の匂いがいつもよりも濃く甘さが増しているように感じて、頭がすごくクラクラする。 「はぁ…私は君から離れられそうにないな」 耳元で言われた言葉に、僕は微笑んで、離れないでって心の中で思った。 「僕も離れたくないです」 自分から彼の頬にキスをして、それに驚いて固まってるアデルバード様からそっと離れた。 自分からキスしてしまったことや、抱きしめられていることにどうしようもない恥ずかしさを感じて、つい逃げてしまったんだ。 「さあ、固まっている陛下は従者の方に任せて着替えを致しましょう」 ラナがすごく冷静な声で話しかけてきて、他のメイドさん達もにこにこしながら衣装に合う装飾品等を用意し始める。 そんな彼女たちとアデルバード様を交互に見ながら、今日も平和だなってつい思う。 前までは平和だと思う時間すらなかったから、こんな時間が大切で愛おしくて、ずっとずっと続けばいいのにって願った。

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