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50.お付選び
次の日、アデルバード様からラナの代わりに誰を付き添いにするか僕が決めていいと言われたから自室でどうするか頭を悩ませていた。
「ラナは誰がいいと思う?」
紅茶をカップに注いでくれているラナに尋ねると、着替えを手伝ってくれている2人のどちらががいいのでは、と言われて僕もそれがいいかなって頷く。
「シシィは気立てがいいですし、ユンナは武術の嗜みがありますからいざという時役に立つかと。2人とも少々注意力にはかけますが」
「うーん…」
いつも僕の衣装をどれにするかで言い合いをしている2人を思い浮かべて笑みが漏れる。
この離宮の使用人の中で、ラナとラセットさんの次に関わる事が多いのはあの二人だ。
だから、僕は2人が大好きだしどちらが着いてきてくれても全然構わない。
「2人とも連れていくよ」
「陛下はそれでいいと?」
「…うーん。2人とも連れて行っていいか聞いてみないと分からないけれど、きっと大丈夫」
アデルバード様に話してみるよってラナに伝えると、彼女は申し訳なさそうな顔をしながら僕のことを見てきた。
「ラナは自分の事に集中して。僕はアデルバード様もいるし、ラセットさんも居るから大丈夫だよ。シシィとユンナだっていい子たちだから」
「…ありがとうございます」
ラナは眉を垂れさせて、そう言うと僕の目の前に紅茶と茶菓子を置いてくれた。
ふわりと漂ってくるいい匂いに、キュルッて微かにお腹が鳴って、それが恥ずかしくて、へへって笑って誤魔化すと、ラナがクスって笑ってくれて僕はそれを見てほっとした。
彼女は少し責任感が強すぎる所があるから、そんなに心配しなくてもいいのにって思ってしまうけれど、この国に来てからはずっと彼女が傍に居てくれているからお互いに離れることを不安に思ってしまうんだろうな。
「視察楽しみだな〜」
「きっと楽しいですよ」
「ラナも城下街に行ったりするの?」
「ええ、勿論。備品を買いに行ったりもしますから。賑やかで、各国からの特産品も数多くあるので気に入る物が見つかるはずです」
「わあ!ますます楽しみになってきたよ」
茶菓子を摘みながらラナに沢山城下街のことを教えて貰う。
彼女から聞く話はどれも面白くて、僕はその様子を想像して期待を膨らませた。
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