4 / 9
第4話
「今日の放課後、うちに遊びに来るか……」
「……わーい!」
無邪気に喜ぶ蒼宙の頭を撫でた。
青の中で犬に決定したため、特に深い意味はなかったが、相手はかなり機嫌を良くした。
「……来てもいいから青くんと呼ばないようにしてくれるかな」
「じゃあ、あおって呼ぶよ!」
「ややこしいんだよ」
「お揃いみたいで、嬉しいんだもの」
青は、子犬の眼差しで見つめてくる蒼宙から、目を背け、歩き出した。
「ああ、同じクラスだったら、よかったのに」
後ろから聞こえてきた声に、律儀に返事をする。
「寂しかったら、昼休みにでも教室に来いよ。遊んでやるから」
「無意識で喜ばせないでよ……調子に乗っちゃう」
「……乗れば」
尻尾を振って後ろからついてくる。
階段を登っているとやたら、楽しそうな足音に追いかけられ……困惑した。
蒼宙は、隣のクラスだった。厄介なことに、途中までは一緒だ。
昼休みになって、約束通りに蒼宙がやって来た。
青は、クラスメイトを介して呼ばれて、蒼宙の元へ向かう。
二人が並んで立っていると、黄色いどよめきが上がった。
「……青くんって、すごい人気だよね。なんか、圧倒されちゃう」
「お前と一緒だからじゃないか」
「……それは、ないよ」
廊下で言葉を交わしていると、様々な視線が突き刺さる。
ひそひそとささやく声は、女生徒のものだ。
「藤城くん、隣のクラスの篠塚くんと一緒にいるわ! 」
「絵になるわ。もう、どうしよう。悔しいけれどお似合いよ。
綺麗系と可愛い系、どっちもいい! 」
興奮した様子に、若干引き気味になった青だった。
「絵になるとか、言われているが」
「絵って動かないよね。なんか、やだ」
蒼宙の感想に、青は頷く。
試しに手を繋いでみたら歓声があがった。
「あお、うるさくなっちゃったよ」
小柄な蒼宙が、背伸びして耳元に伝えてくる。
青は、173センチになっているが、骨格からしてまだまだ伸びそうだと、
医師の父からも言われている。父の身長までは、あと5センチだ。
「……蒼宙、ご飯粒ついてる」
「え、どこ……?」
「ここ」
青は蒼宙のほっぺたに、くっついたご飯粒を指で拭い、それを口に含んだ。
「こんなの女の子にしたら、イチコロだよね」
蒼宙は、真っ赤になって俯いた。
「しないよ?」
「でも、唇で取ってほしかったな。二人きりになれない学校は嫌だよ」
頬を膨らませた蒼宙に、
「恥ずかしいことを言うなよ」
青は、顔をそむけた。
「……あおって変なとこで、可愛さ見せるよね。もう、こんなんじゃ嫌いになれないよ」
「ならなくていいよ。健全な男同士のお友達だろ、俺ら」
耳に注ぎ込んだら、蒼宙は、頭(かぶり)を
ぶるぶると振るった。
「……ずるい! 」
「こんなとこじゃ本音も言えないし……な?」
ともだちにシェアしよう!