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第4話

「今日の放課後、うちに遊びに来るか……」 「……わーい!」  無邪気に喜ぶ蒼宙の頭を撫でた。  青の中で犬に決定したため、特に深い意味はなかったが、相手はかなり機嫌を良くした。 「……来てもいいから青くんと呼ばないようにしてくれるかな」 「じゃあ、あおって呼ぶよ!」 「ややこしいんだよ」 「お揃いみたいで、嬉しいんだもの」  青は、子犬の眼差しで見つめてくる蒼宙から、目を背け、歩き出した。 「ああ、同じクラスだったら、よかったのに」  後ろから聞こえてきた声に、律儀に返事をする。 「寂しかったら、昼休みにでも教室に来いよ。遊んでやるから」 「無意識で喜ばせないでよ……調子に乗っちゃう」 「……乗れば」  尻尾を振って後ろからついてくる。  階段を登っているとやたら、楽しそうな足音に追いかけられ……困惑した。  蒼宙は、隣のクラスだった。厄介なことに、途中までは一緒だ。  昼休みになって、約束通りに蒼宙がやって来た。  青は、クラスメイトを介して呼ばれて、蒼宙の元へ向かう。  二人が並んで立っていると、黄色いどよめきが上がった。 「……青くんって、すごい人気だよね。なんか、圧倒されちゃう」 「お前と一緒だからじゃないか」 「……それは、ないよ」  廊下で言葉を交わしていると、様々な視線が突き刺さる。  ひそひそとささやく声は、女生徒のものだ。 「藤城くん、隣のクラスの篠塚くんと一緒にいるわ! 」 「絵になるわ。もう、どうしよう。悔しいけれどお似合いよ。  綺麗系と可愛い系、どっちもいい! 」  興奮した様子に、若干引き気味になった青だった。 「絵になるとか、言われているが」 「絵って動かないよね。なんか、やだ」  蒼宙の感想に、青は頷く。  試しに手を繋いでみたら歓声があがった。 「あお、うるさくなっちゃったよ」  小柄な蒼宙が、背伸びして耳元に伝えてくる。  青は、173センチになっているが、骨格からしてまだまだ伸びそうだと、  医師の父からも言われている。父の身長までは、あと5センチだ。 「……蒼宙、ご飯粒ついてる」 「え、どこ……?」 「ここ」  青は蒼宙のほっぺたに、くっついたご飯粒を指で拭い、それを口に含んだ。 「こんなの女の子にしたら、イチコロだよね」  蒼宙は、真っ赤になって俯いた。 「しないよ?」  「でも、唇で取ってほしかったな。二人きりになれない学校は嫌だよ」  頬を膨らませた蒼宙に、 「恥ずかしいことを言うなよ」  青は、顔をそむけた。 「……あおって変なとこで、可愛さ見せるよね。もう、こんなんじゃ嫌いになれないよ」 「ならなくていいよ。健全な男同士のお友達だろ、俺ら」  耳に注ぎ込んだら、蒼宙は、頭(かぶり)を  ぶるぶると振るった。 「……ずるい! 」 「こんなとこじゃ本音も言えないし……な?」

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