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第35話 嫉妬(ジェラシー)に焼き尽くされて-2✱✱✱
四年越しの恋愛。
きっとこうなることは必然で、ひとつに結ばれないと
終わりを迎えることもないとお互い気づいていた。
硬く立ち上がった乳首を含み舌で転がす。
男性にしては少し高めの声の喘ぎは、甘くて聞いていると欲が煽られる一方。
頬に触れれば上気しているのが分かる。
「かわいい声だな……もっと聞かせろよ」
「っ……、ちょっ、待ってよ」
長い指でつねってやる。
敏感に反応する身体が、蒼宙から声を出させる。
浮いた腰は体格差のあるカラダで押さえつけた。
手首を掴み、手のひらに口づける。
「青、本当に誰ともしてない?」
この場に来て疑われ、正直ムカついた。
思い知らせてやるしかない。
「浮気を疑ってるのかな……蒼宙くん。
キスどころか、お前とヤる妄想を何度したか」
「っ……僕よりよっぽど変態じゃない。
昔の青は、どこいっちゃったの……あっ」
「昔の俺も確かにいるし、今の俺もいるんだよ。
おあいにくさまだな」
変態という評価は合っている。
男として目覚めただけ。
本能に抗わないことを知っただけだ。
乳首を吸い上げると、腕の下でびくびくと腰が揺れた。
なめらかな肌をなで上げる。
指に吸いつくようだと思った。
「異性と同性じゃまた違うんだろうけど……
攻める側だし一緒だな」
口元をゆがめる。
「そんな強気でいいの? 僕だってされるがままじゃないよ」
「ふうん。どうする気なんだ。あの時ちょっと身体に触ったくらいで気を失ったくせして」
「あっ……いきなり触っちゃ……っ」
初めて触れた蒼宙の秘められた場所は、硬くなりかけてはいたが
とてもかわいらしいサイズだった。
手のひらに収まるそれに指で触れ、いきなり掴んだ。
「っ……、ああ」
「声、押さえるなよ。俺、お前の声、好きなんだぜ」
口元に手を押し当てて、必死で声を隠そうとしている。
とても、愛らしくそそられる仕草だった。
「僕と付き合い始めた頃はもう声変わりしてたっけ。
でもまた声、変わったよね……
どっから出してるの。その低音のウィスパーボイス」
「色っぽいか?」
「そうやって聞いてくるのはかわいいままの青だ」
無邪気に笑うから、首筋に噛みついてやる。
吸血鬼みたいに歯を立てて。
痛みではなく、脳に甘く響くように。
「……本気で恋愛した相手以外とこんなことしたいと
思わない。面倒だから」
「愛だから、したい?」
「疑う必要がどこにある」
「っ……」
素早く撫でて擦ったら、蒼宙は何度も腰を浮かせる。
「指噛むなら、俺の指をくわえるか?」
「……っあ」
自分の指を外させ、指をくわえさせた。
動揺していたのは一秒で、すぐに舌を絡ませてくる。
指にキスをさせておき、
上半身の服とジーンズを脱がせる。
下着の中で膨れ上がる欲望は、いじらしく思えた。
青のソレははちきれんばかりに生地を押し上げている。
成長したのは心だけじゃなく身体もだった。
生々しいことは嫌で気づきたくもなかったのに。
「んんっ……」
荒々しく舌を絡ませる。
多分、今までこんなに激しくキスをしたことはない。
これからを暗示する濃厚な口づけを交わし、
先へ進むことをお互いに承知させる。
舌をつつきあう濡れた音。
キスの余韻の中肩で息をしている姿も見ていたい。
息をのむ。
上半身の服を床に脱ぎ捨てた。
「……考えてること分かるよ。
だからこの時のために用意しといた。デスクの引き出し」
蒼宙は掠れた声でゆっくりとしゃべる。
「性別関係なく、エチケットだよな」
薄明かりの中、手探りでデスクの引き出しから包装をつかみ取る。
(0.01……薄いってことか)
「でも、青が使うって考えたら大丈夫だったかな」
「……いらない気を回すな」
ここまできて、顔が赤くなる。
(確かに蒼宙のは青に比べると小さめだ。
明らかに異性が持たない物ではあるが)
口にくわえて自らにつける。
そういえば授業で使い方を習った。
他の男子生徒は、実践で使ったのかは知らない。
「……俺の方を見る余裕があるんだな」
闇の中、確かに蒼宙は青の様子を見ている気がした。
ぎしり。音を立ててベッドにのしかかる。
「息を吸って吐け」
蒼宙は青の言ったとおりに息を吸い吐き出す。
シーツの上に肘をつき愛しい髪を撫でる。
一瞬、硬い場所が触れ合っただけでしびれが起きた。
「……手握って」
ねだられたので、手ではなく手首を掴んだ。
ぐ、と押し入っていく。
「あ、ああ……っ!」
一気に奥を貫いた。
狭くて、少し苦しい。
「お前の中にいる。分かるか?」
腰を揺らし、問いかける。
「す、すっごい存在感……あ、だめ。まって」
一番奥で動きを止めたものの動かない方が苦しい。
「きついならしっかりしがみついとけ」
蒼宙以外との経験などないのだから、他は知らない。
これが、繋がるという行為なのかと実感すると幸せで満たされるようだった。
「……っ、待って……ひゃああ」
少し大胆に腰を揺らした。
「お前こそ初めての割に反応がいいんじゃないか」
「だっ、て、それは青だから。
青としてるのが嬉しくて仕方ないからだよ!」
蒼宙は自身を繋がった場所に擦りつける。
青自身と蒼宙のソレが触れ合い、また膨れ上がる。
「っ……」
濡れた音は、お互いが出しているのだろう。
首筋に腕を絡め蒼宙が抱きついてくる。
上と下の唇を舐め、舌を潜り込ませた。
差し出してくる舌を絡めてキスをする。
次第に腰の動きを早めながら。
乳首を指で弾いたら、奥が鳴いた。
「きっつ……」
締めつけられ、突き上げる。
「好き、好き」
「愛してる……だろ」
「ん。愛してる」
うわごとみたいに言う蒼宙の首筋に唇を寄せ奥を強く突いた。
蒼宙は、幸せそうな顔で意識を手放していた。
(同時にイったのか……)
しっとりと汗ばんだ額。
濡れた髪を撫でて、蒼宙の上に覆い被さった。
もう少しだけ、繋がったままでいたい。
むすばれた後、ベッドの上でじゃれ合い寄り添う。
何も身につけていないのはお互い同じだから気にしない。
「首とここ、気づいてるか」
首筋と鎖骨に指で触れる。
鏡で見せたら、蒼宙は目を逸らした。
デスクの上のライトをつけたので、
先程までより明るい。
「……痛かったからね」
「今すぐ消してやろうか。俺なら痛くないはずだ」
見ていると忌々しさが込み上げてくる。
「青の独占の証をちょうだい」
「……お望みのままに」
こんなの鬱血痕であって、
愛はどこにもない。
首筋から鎖骨をちろちろ、と舌でなぞり吸う。
少しきつく吸ったら、蒼宙から息が漏れた。
「ん……」
「これからは俺がいっぱいつけてやる」
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