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第24話
脱衣所に行くと、和将は待ちきれないとでも言うように真洋を抱きしめ、今まで触れたことの無かった唇にキスをしてくる。
ゆっくり、ゆっくりと真洋を煽るようなキスは、真洋の脳をしびれさせるのに十分だった。
すると、ちろりと唇を舐められる。
「ん……」
思わず口を開けると、和将の舌が入ってきた。
(やっぱ、キスも上手い)
徐々に興奮が高まっていくのを、どこか遠くで感じながら身を任せていると、頭がフワフワとしてくる。
(気持ちいい……)
このまま身を任せてしまいたいと思っていたら、和将が服の中に手を潜り込ませてきた。肌の上を和将の手が滑り、くすぐったいのと気持ちいいのとで身体がゾクゾクと動いてしまう。
「こら、1人で気持ち良くならないの。真洋も触って」
「だ、だって……」
セフレとして会っていた時もそうだが、真洋が1人だけ翻弄されて、相手を楽しませるどころじゃなくなってしまう。それじゃいけないと思い頑張っているが、快感に弱い真洋はすぐにグズグズになってしまうのだ。
「だって、何?」
「ん……っ」
耳元で囁かれビクリとする。その様子を見た和将は手を止めてクスリと笑った。
「いいよ無理しなくて。気持ち良さそうにしてる真洋、可愛いから」
「……っ、あんま、そういう事言うなよ」
恥ずかしくて、真洋も力の入らない手を動かす。和将のセーターを脱がそうとすると、和将の指が動いて真洋の胸の敏感な所を触られる。
「ん、ちょ……やめろよ……っ」
「何で? ここ好きでしょう?」
「今はやめろって!」
真洋はそう言うけれど、和将は止めてくれない。
「やめ、や……っ、やぁ……っ」
真洋の声に明らかな興奮の色が乗ると、和将は嬉しそうに微笑む。
それからあっという間に服を全部脱がされた。和将も自ら服を全部脱ぎ捨て、手を引いて浴室に入る。
それから真洋は全部和将の手で洗われ、ご丁寧に髪の毛まで乾かしてもらった。その間和将は終始ご機嫌で、ニコニコしている。
「何か楽しそーだな」
「楽しいよ。だって、憧れの真洋が目の前にいるんだから」
真洋は聞いた事を後悔した。恥ずかしくて今すぐにでも逃げ出したい。
寝室に来ると、布団が1組増えていた。真洋が来る事を知って、新調したらしい。
「アンタ、俺の事は甲斐甲斐しく世話するよな」
「そりゃあね。真洋が喜んでくれるなら、何だってするよ」
「……」
またしても、真洋は照れて何も言えなくなる。どうしてこの人は、歯の浮くような事をサラッと言えるのだろう?
床に敷いてある布団に寝かされると、自然に和将がキスをしてくる。
「真洋、私は真洋が好きだよ。ずっとずっと、憧れだった」
服を着ていない裸のまま、2人は抱きしめ合う。
「分かった、分かったからもう喋るな」
これ以上聞かされたら、恥ずかしさで爆発しそうだ。
「ん……」
キスの濡れた音がする。静かに、しかし確実に性感を高めてくるそれに、真洋は下半身に熱が溜まっていくのを感じた。
キスの間に和将の手が動く。ゆっくりと、下手すればくすぐったく感じる程の優しさで、頬から首筋、胸、脇腹と下がっていく。
「ふ……」
真洋が鼻に抜けた声を上げると、和将はキスを止めた。
くっきりした目が真洋を見ている。普段きっちりセットされている髪が、今は少し乱れていてセクシーだな、と思う。
真洋は両手で和将の頬を包んだ。
(やっぱ、カッコイイなぁ)
「何を考えているのかな?」
嬉しそうに真洋を見つめる和将は、時々真洋の心を読んでるんじゃないかと思う。
「……別に、んっ……」
唇をキスで塞がれ、同時に下半身も触れられ身体が震える。
「んっ、んんーっ」
やんわりと真洋の中心を握った手が、ゆっくりと動き出した。思わず声を上げたけれど、和将の唇に吸い込まれていくだけだ。
(バカ! 苦しい!)
そう思って和将の肩を叩くと、彼は何? と解放してくれる。
「何? じゃねーよ……」
上がった息のまま文句を言おうとすると、和将は再び中心を擦り上げた。
「ちょ、バカ……っ」
「真洋可愛い」
どうやら和将は初めから真洋の言う事なんて、聞く気はなかったようだ。そのまま再び色んな場所にキスをし、いちいち反応してしまう真洋を見て楽しんでいる。
(くっそ、やっぱりいつも通りじゃねーかっ)
そう思って彼を睨もうとするけれど、押し寄せる快感に耐えられず、和将の身体にしがみつく。
「ほんと、どこもかしこも敏感」
「んん……っ」
ちろりと胸の突起を舐められ、思わず腰が浮く。すると真洋の中心を握った和将の手が、意図せず擦ったようになり、さらに真洋の腰はクネクネと動いた。
「あっ、あぁ……っ」
「あのアイドルがこんな風に乱れる姿を見られるなんて、人生何があるか分からないね」
そう言って笑った和将は、真洋の後ろを探る。
「うあ……っ」
和将のセリフに文句を言おうとした真洋だったが、後ろに入ってきた指に注意がいってしまい、それどころではなくなってしまった。
(もう、何がなんだか)
自分が敏感で、快感に弱いという自覚はある。しかしここまで乱れてしまうのは、単に和将が上手いだけではない。
和将が真洋を擦りながら、後ろも指で抉ってくる。それが真洋の良いところを確実に捉えていたから、更に悶えた。
「あっ、……か、和将っ」
上ずった声で彼を呼ぶと、何? と指を抜いてしまう。その感覚にゾクゾクと身体を震わせると、和将が耳元で聞いてくる。
「……入れていい?」
「……っ」
余裕だと思っていた彼の声が、微かに上ずっていたのでドキリとする。吐息とも言える返事をすると、彼は真洋の脚を持ち上げ、中に入ってきた。
「……っ、う……!」
あまりの圧迫感に小さく悲鳴を上げると、和将が苦しいね、ごめんねなんて謝ってくる。
「まだちょっと、早かったかな……大丈夫?」
真洋は悲鳴を上げる身体を落ち着かせようと、大きく深呼吸をした。
そして、こんな時でも真洋を気遣うセックスをしたのは、和将だけだと気付く。
光はどこまでも一方的だった。どうしてそれが愛だと思っていたのだろう?
「いい? 動くよ?」
「……っ!」
和将が宣言通り動き始めると、粘膜が擦れる感覚にゾクリとした。
「……っあ!」
そして真洋の中の性感帯を、和将の熱が擦り上げる。今まで上がっていた熱が更に上がり、排泄感が一気に襲ってきた。まだ本番はこれからなのに、と真洋は慌てる。
「和将、だめ、イク……っ」
「いいよ、ほら、イキなよ」
そのままゆるゆると和将は真洋の中を行き来しただけで、真洋は達してしまった。チカチカと視界に星が飛んで、クラクラする。
はあはあと呼吸を荒く繰り返していると、戻ってきた視界に和将が近付いてきた。軽くキスをされると、真洋の体勢が整うまで待っていてくれた事に気付く。
「わりぃ……」
「どうして謝るの? 私は今、すごく楽しいし幸せなんだけど?」
「おま……あんまそういうセリフ言うなよ……」
やっぱり屈託なく恥ずかしいセリフを言う和将に、素直になれない真洋は視線を逸らした。
元々素直だった真洋の性格は、光の事もあったので、ちょっとやそっとで元通りにはならない。
「何考えてるの?」
「うぁ……っ」
和将が再び動き出す。一度達して敏感になった身体は、更に強い快感を脳に伝えた。
真洋は声に出せず首を振ると、和将は嘘だ、と更に奥を突いてくる。
「ホント、真洋は素直じゃないんだから。そこが可愛いんだけど、ね!」
和将はいっそうストロークを早くすると、真洋の腰が跳ね、腕が枕を探してさまよう。
「あっ、あっ……無理! も、無理!」
あまりにも強い刺激に、真洋は探り当てた枕を握りしめ、首を振るけども、和将は止めてくれない。
「どうして? 真洋のココ、さっきからずっと元気なままだよ?」
「あああっ!」
視界が白くなる。この感覚は、と真洋は思うけれど、思い出す前にまた強烈な快感の波が襲ってきて、声も出せなくなった。
何度かその苦しい程のドライオーガズムに襲われた後、気付けば和将も動きを止めて歯を食いしばっていた。その顔が、普段とは違ってとてもセクシーに見えて、真洋は両手で和将の頬を包んだ。
「真洋?」
弾んだ息のまま問いかける和将に応えず、真洋は微笑む。
(やっぱこの顔好きだわー)
「……やっと笑った顔が見れた」
真洋は照れ隠しに和将の顔を引き寄せ、キスをする。
「もう無理。ちょっと休ませてくれ」
逞しい和将の肩に腕を回すと、彼は耳たぶにキスをくれる。
「うん。お休み」
真洋はその直後、電池が切れたように眠りに落ちた。
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