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第15話
「大丈夫? 小室くん」
目隠しを取った空の前には、雅臣が立っていた。
「……神くん?」
なぜ、神くんがここに?
ここはどこだ?
神くんの、家?
「1千万円で君を落札したのは、私なんだ。ごめん」
「え……」
じゃあ、あのオークション会場で僕を買ってくれたのは、神くん?
「ごめん、って。なんで謝るのさ」
空の眼に、涙が沸き上がって来た。
「これで父さんの借金、返せるよ。ありがとう、ありがと……」
空は涙を拭って、椅子から立ち上がった。
そして、おもむろに制服を脱ぎ始めた。
「小室くん!?」
「僕のこと、好きにしていいよ。どんなに玩具にしてくれても、構わないよ」
「ま、待ってよ。小室くん!」
私は何も、君の身体を弄ぶためにお金を払ったんじゃないよ、と慌てて雅臣は空を制した。
「君のピアノの腕に、惚れこんだんだ。私のために、ピアノを弾いて欲しいんだよ」
信じられない、といった顔で、空は雅臣を見た。
今まで、お金はセックスで稼いできた空だ。
同級生は、時には教師まで、お金を払って空に群がった。
お金は身体に支払われるもの。
そんな日々を送って来た空に、雅臣の言葉は信じがたかった。
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