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いざ文化祭! ⑥

 文化祭2日目、天気予報では雨マークが出ていたのに、雨の気配など微塵も感じさせないスッキリとした秋晴れだった。  文化祭の2日目は、外部客もやって来て初日以上の賑わいが予想されている。  今日の舞台の開始は午後からだから、今日は少し時間に余裕がありそうだ。昨日は時間があまりなくて全部は見て回れなかったから、今日こそ残りのクラスを見て回ろう。  そう言えば、橘のクラスは何をするんだろう? 前にチラッと聞いてみたけれどたいしたものはしない。と言って結局教えてくれなかった。 「はよ、雪哉。……なに難しい顔してるんだ?」 「あ、和樹。今日は少し時間があるから色々見て回ろうと思ってて」 「そっか、今日は俺達午後からだもんな! つか、今日もチューすんの?」 「はっ!? なっ、し、しないよっ!? アレはフリだって昨日も言っただろ?」 「フリ……ねぇ……」  和樹がにやにやと笑いながら顎に手を当てて思案顔を作る。絶対わかってて言ってるだろ、コイツ。 「雪哉……。みんなの目は誤魔化せても、俺の目は誤魔化せないよ? だってばっちり見えてたし」 「……っ」 「先輩も大胆だよな。あんな大勢見てる前でキスしちゃうなんて。まぁ、あの頭突きは面白かったし、今日もすればいいじゃん」 「な、何言って……っ」  ただでさえ、好きだと自覚してしまってからは意識してしまって橘の顔がまともに見れないというのに、こんな大勢の目の前でキスなんてできるわけがない。 「ふは、冗談だって。顔真っ赤にしちゃって、かっわいい~」 「っ! からかうなよ……っ」  クスクス笑う和樹を睨んでみても、和樹には効果なんて無い。それどころか益々面白がって肘で小突いてくる。 「でもさ、俺、ふたりはお似合いのカップルになると思うんだよ。付き合っちゃえばいいのに」  好きなんだろう? と、問われれば返答に困り俯いてしまう。 「……そんな簡単に言うなよ」 「なんで? 先輩だって満更でもないと思うんだけど」  本当にそうだろうか? 確かに昨日、何か言いかけてはいたが、結局話の続きはわからないままだ。  両思いになれたら、それはすごく嬉しいと思うし、幸せなんじゃないかと想像することは出来る。でも、もしも振られてしまったら……。そう考えると不安でしょうがなかった。

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