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犯人は誰だ!? 雪哉SIDE ③

「頭湧いてるんじゃないですか? そんなになりたいんなら実力でなればいいじゃないですか、センパイ」  レギュラーになりたかったら人の二倍も三倍も練習して監督に認められればいい。簡単なことだ。  実力不足でレギュラーを落とされるのならまだしも、こんな汚いやり方に屈するのだけは絶対に嫌だった。 「生意気なガキだな。口のきき方には気を付けろつったろうが!」  大柄な男の目が眇められ、ドスの効いた声が部屋に響く。普通ならここで怯えの一つくらいあっても良さそうだが、雪哉は不思議と落ち着いていた。  自分が置かれている立場はけしていい状況とは言い難い。だが、怖さで言えばキレた橘のほうが一〇〇倍、いや一〇〇〇倍は恐ろしいような気がする。 「……フフっ」 「何が可笑しい?」 「いや、安心したんです。この程度で脅したつもりなら、いくらヤったって無駄ってもんです。あなたより橘先輩の方が数倍怖いし……それに、女の子はよく見てるんですね。あなたみたいな男、例え僕が女子でもゴメンですよ。気持ち悪い」 「てめぇっ!」  バカにしたような物言いが気に障ったのか男にいきなり頬を拳で殴りつけられ、口の中に鉄臭い痛みが広がった。さらに腹の上に膝が落とされ、吐き気と共に苦いものが込み上げてくる。だが、のしかかられているせいで体を折ることも出来ない。苦しくて、目じりに涙が滲んだ。 「く……かはっ……」 「悪い悪い、つい殴っちまった。ほら、これ以上綺麗な顔を傷つけられたくないだろ? さっさとレギュラーの座を降りろよ。なんなら部活も辞めちまえ」 「ハッ、これだから馬鹿は嫌なんだ。言葉で通じないとわかると直ぐに手が出てくる。実力がないからって狡い真似して、情けないし、男としての魅力も感じませんね」  口の中に溜まった血交じりの唾液をペッと吐き出して、負けじと睨みつける。男の顔がみるみるうちに怒りで真っ赤に染まっていく。 「なんだと、このっクソガキが!」  前髪を掴まれ、上下に揺さぶって何度も後頭部を床に叩きつけられた。痛みで視界が歪む。 「よほど無茶苦茶に犯されんのがお望みらしいな。だったら、ご希望通りにしてやるよ」  男は卑下た笑いを浮かべながら抵抗の少なくなった雪哉のシャツを捲り上げ大きく肌蹴させた。首筋にきつく吸い付かれ雪哉のからだがピクリと動いたが、暴力の余韻で頭が霞んでうまく体が動かせない。 「……へへっ、優しくしてもらえると思うなよ? てめぇのケツにぶち込んでやる」  いやらしい声が耳に響きズボンと下着を一気に剥ぎ取られる。  無意識に閉じようとした膝を大きく手で広げられ、おむつを替えるようなポーズをとらされた。  萎えたままの性器を指で弾かれ、その指先が腿から尻の方へと這い回る。  いやらしい手つきで尻を撫でまわされて、ぞわっと鳥肌が立った。 「オイ、口開けろ。俺のを特別にしゃぶらせてやる」 「……っ」  男は自分のイチモツをズボンの中から取り出すと、雪哉の口元へと差し出してきた。ムッと蒸れた汗の臭いが口元に迫り、反射的に顔を背けた。絶対に嫌だ。そんなものを口にするくらいなら殴られた方がまだましだ。 「口開けって言ってんのがわかんねぇのか?」  顎の骨を左右から掴まれ、強引に口をこじ開けられる。 「歯は立てんなよ。噛んだりしたらぶっ殺す!」  嫌がる雪哉の顔を押さえつけて奉仕を強要してくるのを必死で抗い全身で抵抗しようとする。 「暴れんなって言ってんだろうが! つか、お前が一言バスケ部辞めますって言えば止めてやってもいいんだぜ?」 「くっ……」  正直言って怖い。だけど、こんな奴に屈するのだけは絶対に嫌だ。 「誰が……っ、誰がそんな事言うもんか!」 「てめっ!」  カッとなった男に顔を数発殴られ、唇の端が切れた。口の中にさらに鉄の味が広がってゆく。 「頑固だな、お前。すげー汚したくなってきた」  男の目が眇められ、チッと舌打ちを一つすると今度は雪哉の顔を跨ぐようにして押さえつけてきた。胸の上にどっかりと座られて呼吸が苦しい。  頭上で拘束している腕を強引に掴み不自由な雪哉の両手にガチガチに固くなった自分のペニスを握らせた。  掌に吸い付く感触に吐き気がした。痺れて力の入らない手を握りこまれて雄を扱かせられる。  上下するたびに滲んだ粘液が濡れた音を立てて自分の指に纏わりつくのがわかった。  ぬるつく感触が気持ち悪くて顔を背けようとしたけれど、男がそれを許さない。  はぁはぁと男の呼吸が一層荒くなった。髪を掴んで正面を向かされ鼻先に突き付けられると濃い性臭がぷんと鼻についた。手の中の性器がさらに大きさを増し、限界が近いことを物語っている。 「てめぇの顔にぶっかけてやる。精液にまみれてケツ犯されながらヨガってんの想像するとたまんねぇな……っ」  嫌だ! 冗談じゃないっ! そんなものかけられて堪るかと、何とか逃げ出そうと試みるが上に乗られているためにそれは適わない。  屈辱的な光景を前にギュッと目を閉じた

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