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番外編⑥先輩が家にやって来た

 今日は先輩が僕の家に来て一週間後に迫った中間テストの為に勉強を教えてくれることになっていた。  先輩と会うのは久しぶりで、なんだか少し緊張してしまう。  「先輩、適当に寛いでてくださいね」  「あぁ」  先輩をを部屋に案内して、僕は飲み物とオヤツを取りに台所へと降りた。  冷蔵庫の中を覗きながら、ふと考える。そう言えば先輩って何が好きなんだろう?  よくよく考えてみれば付き合い始めて数カ月たつのに僕は先輩の好みを把握していない。  小腹もすいて来たし、なんかガッツリと腹に溜まるようなモノはないかと適当に冷蔵庫を漁っていると、魚肉ソーセージが目についた。  ソーセージはどうだろう? タンパク質もカルシウムも豊富だし、案外いいかもしれない。  トレイにソーセージと、他のオヤツを数個乗せて部屋に戻ると先輩は部屋に備え付けてある本棚を物珍し気に見つめていた。  僕の気配に気づくと本棚に並べられた月バスの雑誌を手に取りながら、にやりと笑う。  「お前の部屋って、エロ本とかなんもねぇな」  「あるわけないでしょう、そんなもの」 「真面目かよ。つか、じゃぁ何で抜いてんだよ?」 「……ッ」  いきなりのセクハラ発言に思わず言葉に詰まってしまう。  その質問は非常に答えにくい、というか答えたくはない。 「そ、そんな事より! 勉強、教えてくださいよ」  ローテーブルに持ってきたものを置き、出来るだけ平常心を装いながら床に座って教科書を広げた。 「つか、お前ってそんな勉強できないのか? 全然そんなイメージねぇんだけど」  「ま、まぁ……普通ですよ、普通」  「ふぅん、普通ねぇ……言っとくけど、俺は高けぇぞ」 「恋人から指導料取るんですか?」 「ふは、んなわけねぇじゃん。勉強教えてやる代わりに俺のお願い3つ聞いて貰うからな」 「……3つも……?」  もう、この時点で嫌な予感しかしない。やっぱり先輩に教えて貰うと言う口実で家に呼んだのは、早計だったかもしれないとほんの少し後悔したけれど後の祭りだ。  わかりやすくテンションが下がった僕を見て、先輩が楽しそうに笑っている。どうやら今日は機嫌がすこぶるいいらしい。 「まぁ、俺も大学の課題とかあるから、わからない事あったら聞けよ」 「わかりました。あ、お菓子食べてくださいね。どれがいいですか?」 「サンキュ。って、いいモンあるじゃん」  適当に持ってきた菓子袋の口を開きながら訊ねたら、先輩の視線がある一点で止まった。  そして先輩が選んだのはまさかの魚肉ソーセージ。  「え? ソレ?」  「まぁ、手が汚れないしな」  あぁ、なるほど。確かにそれは一理あるかもしれない。  これから勉強するのに油でベタベタした手で本を触るのは嫌なのだろうと妙に納得してしまった。  だけど……。  僕は、食べ物の選択をちょっと間違えたかもしんない。  参考書に目を通しながら、器用にソーセージを剥いて、それを咥える先輩の姿が妙にエロティックに見えて思わず喉が鳴った。  形のいい唇に挟まれているソーセージが、なんというか……アレに見えるっ……。  先輩の唇、いつ見ても綺麗だ。薄くて形が整っててなんだか凄くえろい。  あの手と唇に僕はいつも翻弄されっぱなしなんだ。  「萩原。聞いてんのか?」  「えっ、は、はいっ。すみません、ちょっとボーッとしてました」  低めの声に呼ばれ我に返る。  誰のために勉強を教えてやっていると思っているんだとばかりに睨まれてしまいバツが悪い。  「お前やる気あんの?」  「……すみません」  まさか、ソーセージ咥えている先輩を見てちょっとえっちな妄想してしまいましたとは口が裂けたって言えない。  言えるわけがない。  だけど、一度妄想してしまった僕の思考はそうそう消えてくれなくて、ついつい、先輩の口元とか指先に目が行ってしまう。  と、言うより……ソーセージって舐めて食べるようなものじゃないはずだ。  ぺろりと唇を舐める仕草にドキリとして持っていたうっかりシャーペンを落としそうになった。  先端を唇で咥えチロチロと赤い舌がソーセージを舐める。  時々深く咥え込んで、それを見せつけるように出し入れを繰り返す。  これは、もしかしなくても煽られている?  先輩の舐めるような視線、いやらしく音を立てて咥える口元から目が離せない。  「――萩原、何を考えている?」  「……っ」  酷くセクシーな声音で訊ねられて反射的に喉が鳴った。  ゆっくりと、先輩が僕の方に近づいてくる。  「俺がソーセージを食べているところを見て、何を想像した?」  耳に息が掛かりそうなくらい近くで囁く声に背筋がぞくりと粟立った。   「わざと見せつけたくせに……」  「俺は普通にソーセージを食ってただけだ」  「嘘ばっかり! あ、あんなエロい食べ方する奴が何処にいるんですかっ」  シレっと言いながら先輩の少し垂れ目の双眸が眇められ、するりと伸びてきた左手が僕の股間に触れた。  「……勃ってんじゃん。見ているだけで興奮したのか? スケベ」  いやらしいタッチで触れながら意地悪な唇が耳たぶを舐める。  「ん、は……せんぱ、勉強……は」  「休憩な。お前が全然集中してないから、やっても意味ねぇだろ」  「そ、それは……そう、だけど……でもっ」  言葉は途中で遮られ、熱い唇が触れ合う。  唇に柔らかく濡れた舌が触れ、薄く唇を開くとそれは強引に割り込んできた。歯列をなぞられ、舌が絡め取られるとぞくんと怪しい震えが全身を駆ける。  「んっ、……は、ぅん……っ」  先輩、キス上手すぎ。蠢く舌から吸い取られていくように体から力が抜けていく。  深く差し入れられた舌が、ぐるりと口内を舐める。その感触の心地よさに腰が堪らなく疼いた。  ベッドに凭れてキスの余韻に浸っていると、それに気をよくしたのか先輩が僕の肩口に顔を埋め首筋に舌を這わせてきた。  それと同時にいつの間にかシャツの中に侵入してきた手が胸の尖りを見つけ押したり潰したりと刺激をはじめる。  「ん……。はぁっ……」  先輩は僕の性感帯が何処なのか熟知している。わかってて執拗にソコばかり責めてくるからタチが悪い。  シャツをめくって、熱い唇が胸元に触れる。指で触れられるよりも強烈な快感に、上擦った声が洩れた。  「ぁっソコは……。やめっ……」  乳首を舌で刺激され先輩の肩を掴んでいた身体がびくりと跳ねる。でも、やめてくれる気配はなくて尖りきって敏感になった突起を執拗に舌で刺激してくる。  「ぅあっ……先輩っソコは……ダメだって……っ」  「フッ、ダメだと言っているわりには随分気持ちよさそうだな……腰が揺れてんぞ」  いやらしいな。と、舌で愛撫を続けながら言われ身体が余計に熱くなる。  恥ずかしいけれど、舌が巧みに動くたびに身体がどうしようもなく悶えてしまう。  胸元から下半身へと降ろされた手が、まだ履いたままのズボンに触れた。  先輩の手が器用にベルトを外し、ズボンの中へと手が侵入してくる。  「凄いな。もうガチガチじゃんお前」  下着の上からを僅かにずらし、喉で笑うといきなり先輩が躊躇いもなくソレを口に含んだ。  とっくに硬くなっていたソコは軽く扱かれただけでヒクヒクと震え急速に高みへと上り詰ていく。  「ひぁっ、先輩待って……っ。うっ……だ、駄目だってっ。……っ、そんなにされたら、ぼく、……我慢……できな……」  「気持ちいいんだろ? 素直に出せよ」  シレっと言い切ってさらに深く咥え込む。同時に、先輩のの長い指が根元の膨らみをやわやわと揉んだ。強すぎる刺激に腿がガクガクと震えた。先輩の肩を掴んでいる指先に力が籠る。  「だ、駄目だって言ってるのに……あっ! ああ……んっ」  もうダメだ、と思ったその瞬間――。

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