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番外編⑤先輩が家にやって来た2

 「ただいま~」   「――っ」  兄さんの呑気な声が玄関から響いてきて、僕達はぎくりと身体を強ばらせた。  「誰? つか、今日は誰もいないって言ってなかったか?」  「あ、兄ですっ! 気まぐれで突然戻ってくることがあるんですよ。ていうか先輩退いてください、早くっ」  兄さんにこんな場面を見られては大変だ! あの人にだけは絶対に見られてはいけない  焦る俺たちを他所に、何も知らない兄の軽快な足音がトントンとゆっくり近づいて来る。  そして、なんの躊躇いもなく部屋のドアを開けた。  「雪哉、玄関に知らない靴があったみたいだけど誰かきてるのか?」  「ちょ、兄さん、ノックくらいしてっていつも言ってるじゃん! 今、勉強中だから邪魔しないでくれる!?」  かろうじて服を整え、思わず早口でそう言って、慌ててドアを閉めようとした。  中途半端に邪魔されて先輩は仏頂面を隠そうともせずに不機嫌オーラを醸し出している。  「ふぅん、勉強……ね」  「こ、今回範囲広くってわからない所が沢山あるんだ、だから、その……っ」  上手い言い訳が思い浮かばずに内心ひやひやしていると、先輩と目があった兄がポツリと呟いた。 「なんだ、男かよ……女子だったらからかってやろうと思ったのに」  そして、興味を無くしたのかあっさりと手を離し部屋から出て行った。  「は~…びっくりした……」  兄の足音が部屋から離れて行く気配を確認し、思わず安堵の溜息が洩れる。  まさか兄さんがこんな時間に戻ってくるとは思わなかった……。  ドアに背を預けてバレなかった事に安堵していると、いきなり先輩に後ろから抱きしめられた。  何事かと思って顔を上げたら顎を持ち上げられて唇を奪われる。  「なっ、ちょ! 先ぱ……っ」  驚きで頭が真っ白になった所で項を指先でなぞられた。口の中に舌先が入り込み、あっという間に舌を絡め取られる。  「ん……ふ……っ」  チュクリと唾液の鳴る音がした。さっき中途半端に燻っていた感情がじわじわと競り上がってきてぞくりと甘い痺れが全身を駆ける。  ドアに背を押し付けたまま先輩の長い指が股間に触れて僕は息を詰めた。  「ちょ、先輩、ストップ! 今日はもうだめだから!」  すぐ隣の部屋には兄さんがいる。いくら鍵をかけたと言っても気が気じゃない。  なのに、先輩は「大丈夫だ、お前が声を出さなければバレないだろ」なんて、他人事のようなことを言う。   「お前はシたくないのかよ?」  グッと先輩のすっかり硬くなった股間を押し付けられて、言葉に詰まった。  そりゃ、僕だってしたくないわけじゃない。でも……。  「……雪哉」  悩む僕の思考を邪魔するように低くて艶を含んだ声が名前を呼ぶ。  同時にズボンの中に手を差し込まれ再び熱を持ち始めたモノをユルユルと扱かれて腰が震えた。  「んんっ……ふ、ぅ、ぁっ」  唐突に、耳の穴に舌を差し込まれ、濡れた音がちゅくちゅくと頭の中で響く。  突然の強い快感に足がガクガク震えて立っていられない。先輩の腕にしがみつくような形になった僕を、どうするんだ? と言わんばかりの表情で見つめてくる。  どのみち、こんな状態じゃ勉強なんて出来る筈がない。  「も、ずるいです先輩……こんなの、我慢できるわけ、ないのに……」 「お前がエロイから悪い」 「……エロイのは先輩でしょ」  すっかり上がってしまった息を整えながら、先輩の背中に腕を回して、ベッドを顎で指すと先輩が満足そうに笑った。  枕に顔を埋めて、少しでも声が洩れないように。  僕は、とにかく声を押し殺す事に必死だった。  誤魔化すために曲を少し大きめの音で流してみたけど、それでも隣の部屋に聞こえるんじゃないかと心配で仕方がない。  「ふ、っ、あっ……んんっ」  両足を抱え上げられて、腰を打ち付けられるたびに堪えきれない喘ぎが洩れる。   「いつもより感度がいいな。兄貴が隣にいるせいか?」  「そんなの、知らな……ふ、ぅっ、んんっ」  いつもとどう違うかなんて僕にわかるわけがない。  身体をグッと倒してきて、胸の突起を指で弄られ、もう片方に舌が絡む。強い快感に身体が大きくしなった。  人がせっかく声出さないように必死に我慢しているのに、そんなに色々いっぺんに触られたら抑えられない。  繋がった部分から広がってゆく快感に、全身が総毛立った。  「はぁ……っ、ん、ああ……せんぱ、ちょ……っ、わざと、でしょそれっ、ぁあっ!」  「さぁ、な。……そんな色っぽい声を出すお前が悪い スリルがある方が燃えるくせに」  吐息に乱れた声が熱く囁く。  「なっ、違っ、僕のせいじゃ……っく、」  先輩が動くたびに、繋がっている所からぐちゃぐちゃと凄い音がする。  そんな淫らな音に煽られて、凄いスピードで駆け上がるように快感が高まっていった。  小刻みに激しく突き上げられて、どうにかなりそうだった。ただ、熱くて、なにも考えられなくなる。  「先輩、待って僕……も、ぁあ……っ」  目を開けたら、情欲に濡れた瞳と視線が絡んだ。そんな顔されたら僕のほうが……。  濡れた性器に先輩の指が絡んだ。前と後ろを同時に責められて、頭の中が真っ白になってゆく。  「くっ――ぁあっ」  一際激しく突き上げられて、先輩の肩に乗せた足がわなないた。もう、自分ではどうすることも出来ない強い快感に、僕は先輩の手の中に勢いよく飛沫を迸らせていた。

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