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番外編⑥ 純愛インモラル 2
「自分でケツ洗いながら感じてんの? 変態だなお前」
耳元で低く囁かれる言葉にビクリと身体が震える。
違うと言いたかったけれど、口を開いた瞬間に洩れ出る喘ぎ声を抑えることが出来ない。
「ふぁ……あっ……ちが……ひゃぅ」
「違わねぇだろ? ここ、もうぐちゃぐちゃじゃんか」
先輩がシャワーを止め、空いた手で僕のペニスを掴む。
「んっあ……だめ、それ、やっ」
勃起し始めていたそれを掴まれ上下に扱かれれば、たちまち射精したいという欲求が沸き起こる。
昨日散々出したはずなのに、まだ足りないとばかりにそこは硬く張り詰めていく。
僕は無意識のうちに、もっと強い快楽を得ようと自ら指を動かしていた。
イキたいのにイケない。もどかしさに気が狂いそうになる。
いつの間にか二本になった指を激しく動かしても、前立腺を刺激しても、先輩の言うとおり僕の身体は何処までも貪欲で、もっともっとと更なる刺激を求めていた。
身体が熱い。下半身が疼く。
欲望のままに、ただ絶頂だけを追い求める。
ああ、このままじゃ……
頭の隅っこの方で理性が警告する。これ以上したら戻れない、今なら引き返せると。
しかし、僕の中で渦巻いていたのは、もはやどうしようもないほどの熱情だった。
先輩が欲しい。先輩のモノになりたい。
先輩が欲しい、先輩が……先輩が!!
「せんぱい……っ」
「何だよ?」
「先輩の……挿れてっ……も、我慢できな……っ」
自分でも何を口走ったのかわからないまま熱で掠れた声が出た。
耳元で先輩がごくりと喉が鳴らすのを感じた。
「くそ、もっと焦らしてやろうと思ったのに……」
と舌打ち混じりの声と共に指を引きぬかれた。
「んっ……!」
「力抜いてろよ」
指の代わりに宛がわれたのは先輩の猛った雄だ。その質量に息を呑む。
「ぁ……っおっきぃ……ッ」
「煽んじゃねーよ。加減出来なくなるだろ」
圧倒的な大きさのそれに怯み、一瞬逃げようと腰を引く。だが、先輩の腕が逃さないと言わんばかりにガッシリと腰を押さえつけ、指なんかよりも数倍も大きくて硬いモノが内壁を押し広げる。
ピリッとした痛みと共に内臓を抉られるような感覚に襲われて、堪らず僕はバスタブにしがみついた。
泡の力を借りて一気に貫かれる衝撃に声にならない悲鳴を上げた。
「んっ……ぁっ……ぁあっ!」
「く、やっぱまだきついな……」
パンパンと肉を打ち付ける音が狭い浴室内に響き、先輩の熱い息遣いが直ぐ耳元で響いてくる。
熱い鉄の塊のようなものが前立腺を掠めるたびに小さな声が洩れ、強烈な射精感が押し寄せてくる。
膝がガクガクして力が入らず、先輩の動きに合わせて無意識に腰が動いてしまう。
痛かったのは最初だけだ。段々と沸き起こる快感は、突き上げられる度に僕の全身を支配していく。
「や、はっ……ぁあっ、ふっ」
物も言わずに腰を使い出した先輩の動きに煽られて、突き上げられる度に甘い痺れが全身を駆け廻り、嬌声が勝手に口から零れ落ちてゆく。
「せ、せんぱ……ぁあっ、どうしよ、僕……こんな……っ」
「気持ちよさそうだな」
「……っう、はっあっ、ああっ」
囁くような熱を孕んだ問いかけにガクガクと首を縦に振った。こんな自分は知らない。
先輩との行為によって、どんどん隠されていた自分が暴かれていくようで正直怖い。それでもこの快感には抗えない。もっと、もっと奥まで、もっともっと強く突いて欲しくて身体が疼く。
もう自分の身体が自分のものではないみたいだ。
頭の中が真っ白になるほどに揺すぶられ続け、僕の身体は貪るように先輩を求め続けていた。
「……ッやっぱ、こっち向けよ」
「えっ? あっああっ……」
何事かと思う間もなく、いきなり片足を持ち上げられ身体が反転する。
さっきより一層深く繋がった状態で腰を激しく打ち付けられて意識がぶっ飛びそうになる。
「あっ、や、ぁあっ! ん、は、ぁあっ」
「萩原……っお前すげぇいい顔してる」
先輩の熱に浮かされたような余裕の無い声、熱を含んだ瞳。
真っ直ぐに見つめられると、余計に感じてしまう。
「ん、はっ……見ないでくださいっ!」
急に恥ずかしくなって顔を腕で隠すと、先輩がフッと笑った気がした。
そんな顔を見せられると、胸が苦しくなる。
「クッ、そんなに締め付けるなっ」
「僕も……無理! あ、あ、ああぁっ! やっ、イク、イッちゃ……!!」
「くっ、俺も……っ」
目の前がチカチカする。視界が霞んでいく。
頭の中に響く淫靡な水音と肌を打つ乾いた音だけが聞こえている。
僕は先輩の背中に爪を立てて身体を震わせた。
「あ、あぁっ、ん、ぁ……はぁっ」
「くぅ……っ」
ドクドクと体内に流れ込んでくる熱に身体の奥底から満たされていくのを感じる。ずるりと引き抜かれた瞬間、栓を失った後孔からどろりとした白い液体が流れ出るのを感じた。
その感覚にぞくりと背筋が震え、達したばかりの僕の中心は再び緩く勃ち上がっていた。
まだ、足りない……もっと……。一度タガが外れてしまえばもう歯止めがきかなかった。
先輩の唇が近付いてきてキスされるのかと思ったら、頬に口付けられた。そしてそのまま首、鎖骨へと降りていき、胸元へ吸い付かれる。
「ひゃ……んっ」
「お前って本当にエロいな……」
「……っ、先輩がそうさせたんじゃないですかっ」
「いーや、元々素質があったんだよ」
「そ、んなこと……っ」
否定しようとして言葉に詰まる。確かに先輩の言う通りかもしれない。
「ほら、また硬くなってきたぞ?」
「う、うるさいですっ!」
指摘されてカッと顔が赤くなった。先輩が嬉しそうな声を上げる。
「素直になれよ、気持ち良かったんだろ? それとも、もう一回するか?」
「なっ!? 結構です!」
慌てて首を横に振る。これ以上なんてとてもじゃないけど体が持たない。
すると先輩がニヤリと笑って言った。
「じゃあ、これで終わりにしてやるよ」
「えっ、ちょっ……ちょっと待っ……あぁっ」
再び熱い楔を打ち付けられ、僕の身体は歓喜に打ち震えていた。
「ん、ふっ……ぁっ」
「どうだ? 気持ち良いか?」
「やっ……ぁあっき、聞かないで……っ」
耳を舐められながら囁かれてゾクゾクする。気持ち良くて頭がおかしくなりそうだ。
「気持ち良さそうだな」
「はぁっ、あ、あぁっ」
先輩の声に反応するように僕の身体はビクビクと跳ね上がる。
もっと、もっと欲しい。頭の中はそればかりになっていた。
こんな気持ちは初めてだった。まるで媚薬でも飲まされているようだ。
先輩によって与えられる快楽に、僕はすっかり溺れてしまっていた。
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