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強化合宿は波乱の予感⑥

  橘の指が下着の上から陰茎に絡みつき軽く上下に扱かれると、堪らず「んぅ……」と甘ったるい声が出てしまった。  こんなことしたくないはずなのに身体が言う事を聞いてくれない。橘の愛撫に身体の方が先に反応してしまうのだ。  すでに先走りによって下着の中はぐしょ濡れになっていて、先端の辺りは色が変わっている。 「すごいな。漏らしたみたいになってんぞ」 「ゃ……っ」 恥ずかしくて消え入りたくなるような言葉責めにも、体は正直に反応してしまう。 「ほら、聞こえるか? ぐちょぐちょやらしい音がするだろ」 「……っ、ふ……っ」 橘が手を動かす度に、下着の中からくちゅくちゅと卑猥な音が響いて羞恥で死にたくなった。 それでも身体中を巡る熱が治まることはなくて、布越しの刺激だけじゃ物足りないと言わんばかりに腰が揺れるのを止められない。 もっとちゃんと触れてほしい。 そんな欲求が湧き上がってきて、浅ましい自分に嫌悪感を抱く。 だけど、一度火が点いた欲望はそう簡単には消せそうにない。 「は……っふ、んん……っ」 「何やってんだよ。腰動いてるぜ」 「だから、言わないで……って言ってる、のに……っ」  恥ずかしさに頬を真っ赤に染めて、雪哉は弱々しく首を振る。 「やらしいな。自分で擦りつけて感じてんのか?」 「そ、そんな……っ」 「違うなら止めればいいだろ」  そう言いながらも橘の手の動きが止まることはない。それどころか、雪哉の反応を楽しむかのように動きが激しくなっていく。 「ふ……っは、ん……だ、だめっ……」  口元を押さえても、堪え切れない喘ぎ声が洩れてしまう。  布越しに感じるもどかしさで、頭がおかしくなりそうだった。  もっとちゃんと触れてほしい。直接触って欲しい。  そんな欲望が頭の中でぐるぐると渦巻いている。  そんな雪哉の心情を読み取ったかのようなタイミングで耳元に甘く蕩けるような声が囁きかけてくる。 「――なぁ、どうして欲しい?」  その言葉に、身体がかぁっと熱くなった。  わかっているくせに。  雪哉が何も言えずにいると、再び乳首をキュッと捻られた。 「ぅ、ぁっん」  強い快感に、思わず甘い声が漏れてしまい慌てて両手で口を覆った。  こんな所でこれ以上は駄目だという理性と、早く楽になりたいという欲望が入り混じり、つい、口走ってしまいそうになる言葉を唇を噛んで何とか堪えた。  そんな葛藤を知ってか知らずか、橘は執拗にそこばかりを攻め立てる。  指先で弾いたり、押し潰したりしながら、時々爪を立てて引っ掻かれると、ジンとした痺れが広がり雪哉は小さく喘いだ。  その度に抑えきれない声が漏れそうになって必死で堪える。それでも堪えきれなくて鼻から抜けるような吐息が零れた。 「……ん、……は……っ」 (やばい……気持ちいい……。どうしようはやくイきたい……っもう、イカせて欲しい……っ)  こんなところでイケナイことをしていると思う程に快感が増し、無意識のうちに腰を強請るように押し付けてしまう。 「エロい腰使いだな。俺に押し付けて……。澄ました顔してるくせに、やっぱ本当は男にこうされたくて堪らねぇんじゃねぇの?」 「や、ちがっ……ひぅっ」  意地悪な台詞に反論しようとするが、それを遮るかのように先端を強く握りこまれ、思わず声が出そうになる。  布越しのじれったい刺激がもどかしい。  肩口に甘く吸い付かれ、散々弄られて敏感になった胸の尖りを指で摘ままれて痛みと快楽の絶妙な力加減で責め立てられ、だんだんと思考回路が麻痺してくる。 「は……せんぱ……も、むり……っ我慢できな……っ 」  はあ、と切なげな吐息を漏らすとモジモジと腿を擦り合わせながら、雪哉は懇願するように生理的な涙を浮かべながら橘を見上げた。その表情はひどく煽情的で相手の目にどう映るかなんて考える余裕もなかった。 「――っ」  ごくりと息を呑む音がする。次の瞬間、いきなり身体をぐわっと持ち上げられた。いわゆるお姫様抱っこの状態で抱え上げられ、雪哉は慌てて橘にしがみ付いた。 「ちょっ、先輩っ何するんですかっ!?」 「うるせぇ。騒ぐな。あそこで無茶苦茶に犯されたいのか?」 「お、犯……っ」  あまりに直接的な物言いに思わず顔を赤らめる。もっと言い方があるだろうと思ったりもしたが、今はそんなことを言っている場合ではない。  確かに、こんな所で最後まで致すのは流石にまずい。でも、だからと言ってこのまま部屋に戻るわけにもいかないし……。外は蚊が多いだろうから嫌だ。  ……って! 自分は一体なにを考えているんだっ!? 橘にしがみつきアワアワと慌てふためく雪哉を見て、橘がふっと笑みをこぼした事に、俯いていた雪哉は気付かなかった。  橘はそのままずんずんと大股で歩き出す。 「どこ、行くんですかっ」 「……黙ってろ」 「やっ、降ろして下さいっ」 「暴れると落とすぞ」 「……っ」  有無を言わせない口調にビクッと身を震わせて、雪哉は大人しく橘の首筋に顔を埋めた。

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