「あなたはなぜ、そんなにも寂しそうにしているんですか？」 「なっ……！！」 　何を言っている。今日初めて会ったやつに僕の心が見透かされているというのか。そもそも、話す機会すらなかったやつに何が分かるという。 「なぜそんなことがって？　あなたはアルロベド、誰もが注目している存在ですよ。話すのは今日が初めてですけど、俺はしょっちゅうあなたのことを見ていました」 「み、見ていた……？」 「あ、よく遠目で見ていた感じですかね。アルロベド・マリスは寂しそうにしているなって、いつも思っていました」 　いつの間にか僕との距離を縮めている。はっきりとした黒い瞳、長い睫毛、整った顔立ち。美しい顔が作るその表情は、笑っているが真剣そのものである。 　僕をからかっている、わけではなさそうだ。では一体何だという。