17 / 32

第17話

「なんで、何であんな奴と話してたんだよ」 「兄さん!痛いっ」 ドンっと体を壁に押し付けられ、肩を押さえつける恭冴の手はギリギリと力が入り、その痛みに美風は思わず呻き声をあげる そんな美風を恭冴は気にも止めず、押さえつける手を退けたと思えば、美風の腕を掴みずるずると引き摺られ兄の部屋に投げ込まれる ガンッと強くドアを閉めると、ノブについている鍵をがちゃりと閉めた その様子を見ていた美風は途端に怖くなって部屋の隅に急いで逃げるが、恭冴が逃すことはなく、首根を掴まれベッドにうつ伏せに押さえつけられる 「兄さんごめんなさい!もうあんな事しないから…っ」 「あんなやつに…あんなやつ!」 必死に許しをこう美風を尻目に、恭冴はまるで聞こえていないかのようにぶつぶつと何かを言い続けている 会話が成立しない事がより美風の恐怖心を煽る じたじたと兄の拘束から逃れようと暴れた 「駄目だよ美風、大人しくね?」 「にいさっにいさんいたい!」 いきなり美風がつけていたベルトを勢いよく外したと思えば、そのベルトを美風の腕に括り付け、ギチギチと音が鳴るまで締め付けられた 手を後ろに縛られ、とうとう身動きが取れなくなった美風は兄が相当怒っているのだとわかった 「お願い兄さん、もう…」 「ねぇ美風。あいつと何してたの?」 「な、にって…」 「あいつとヤったの?」 「………っ!」 やっぱりさっきの話が聞こえたんだ これは本格的に話さないといけない、のに今は話せる状況じゃない 美風もどうすればいいかわからずに、黙っていると 「なんで何も言わないの?」 「あの、兄さん。ちゃんと話すから、手外して…お願い」 「もういい。こっちで調べるから」 「え、え!兄さ…何して…」 美風は恭冴に手の拘束を外してもらいたいのに、恭冴は拘束には手も触れず、代わりに美風のズボンを降ろし始めた あまりに驚愕して美風が固まっているのをいい事に、腰から膝まで下着ごと一気に剥ぎ取られた 外気にさらされた美風のそれは恐怖で小さく縮こまっていた 流石にやばいと悟った美風は無理矢理にでも逃げようとあの手この手で身を捩るが、恭冴に押さえつけられ逃げる事は叶わなかった グイッと腿を掴まれ足を広げられた 何をする気なのだと美風は恭冴を凝視した そんな美風をお構いなしに恭冴はすっと優しく美風の蕾に触れた 「…ひっ」 美風の口からひゅっと空気が漏れると同時に恭冴は 美風の蕾に指を突っ込んだ 「ぁああ" いたい"!兄さんっ」 「ほら、やっぱりあいつとセックスしたんだ」 行為をして時間も空いたというのに、美風の蕾は痛みを生じたがすんなりと恭冴の指を受け入れた 「あっあっやめて、やだ、やだぁ」 ぐちぐちと恭冴の指は中で容赦なく暴れ回り、勢いよく抜かれた まだ名残りがあるのかそれだけでも快楽を拾ってしまうというのに、これ以上暴れるなんて不可能だった 「はあ、はっはっ」 「美風、こんなんでへばらないで」 息絶え絶えの美風の頭の中はもうぐちゃぐちゃだ それでも兄の怒りは収まることはない うつ伏せから仰向けに直された美風は恭冴の顔を正面から見て悟った これは、まずいかもしれない 「僕は、美風が大きくなるまで我慢するつもりだったのに!僕より先に、よりによって何であいつと!」 「お、ねがい…もうやめて、兄さん」 明らかにいつもの兄ではない 誰か 誰でもいい この際クソみたいな親でも構わない 美風は息を吸い、これでもかと思うほどの勢いで助けを呼ぼうと口を開けた が… 「だれか…誰か!たすけっうぐ!」 「駄目だよ美風。静かにね?」 思いっきり叫ぼうとした矢先、恭冴は美風の声が出る前に、細い細い美風の首を容赦なく締め上げた 悲鳴をあげる首は苦しさゆえに喉仏が上下し、声を出すどころか呼吸さえままならない 「あ"…がっ」 「苦しい?でもね、美風が悪いんだよ。そうでしょ?」 ギリギリと音を鳴らす首元からは常にひゅっひゅっと空気が漏れる その間美風は呼吸が出来ず、とうとう意識を手放す一歩手前で恭冴は首から手を離した 「げほっ、ごほ…はぁ…はぁ」 「いい子だね。美風」 跡がつくほど首を強く締められ、気力も体力も共に消耗しきった美風はもう、立ち上がることすら出来なかった その様子を見て兄は嬉しそうに美風の頬を撫でる 暗くて顔が見えないが、美風には兄がどんな顔をしているのかわかった 手足が恐怖に震えて上手く動かせない 逃げなければ、そう思うのに体はいうことを聞かない 誰か… 誰でもいい 僕を助けて

ともだちにシェアしよう!