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第22話 すれ違い
「俺…お前がいなくなったあの日から、ずっとお前のこと、探し、てて…」
ゆらゆらと目が泳ぎ、明らかに動揺しているのがわかる
そわそわと落ち着きがないまま話を続けようとするが、正直美風もそんな状態で話されても内容が全く入ってこない
「だから、その…」
「あーはいはい、わかったよ。つまり兄さんに言われて探しに来たってことね?」
「…っそういう、わけじゃ…」
「じゃなんなの?まさか、僕のことが好きだからとか言わないでよ?」
あまりに慌てるものだから面白くなってつい腑抜けたことを言ってしまった
悠雅はきっと今でも兄さんの事が好きなはず、やはり怒るだろうか
ゆっくり覗くように悠雅の顔を見た
が、悠雅は顔を真っ赤にしてこちらを見ていたので、それほど怒ったのかと慌てて訂正した
「ご、ごめん!冗談で言ったつもりだったんだけど、まさかそんなに怒るとは思ってなくて…そうだよね、悠雅君は兄さんが好きだもんね」
「え?いや、恭冴を好きなわけじゃ…」
「いやー本当ごめん。でもよかった!悠雅君が僕のこと好きだったらめんどくさいしね!」
「…めんどくさい?」
「そりゃね、距離置かなきゃ行けなくなるし」
「な、なんで?」
急に悠雅君は食い気味に体を寄せて聞いてきた
その顔はいたって真剣で、何故か美風も少し焦って悠雅から距離を開けてから話す
「だってほら、僕こういうことしてお金稼いでるし。本気で僕を好きになってくれた人が他のお客さんとなんかあったら嫌だし?そういういざこざは避けたいじゃん」
「そっか、そうだよな」
「ま、どっちにしろ悠雅君とは距離置くことになるけど」
「は?!な、なんで」
またもや食い気味に顔を近づけてくるから美風も「近い!」と言えば大人しく顔を離してくれたが、それでも気になるようでじっと美風の口が開くのを待っている
なんだか犬みたいだ
「だって僕を見つけたこと言うんでしょ?兄さんに」
「それは…」
「結構困るんだよね。もうここら辺は出歩けないし」
「い、言わない!恭冴には絶対言わないから、それなら俺と会ってくれるのか?」
「え?あ、うん、まぁそれなら」
そう言えば曇っていた悠雅の顔は嬉しそうに微笑んだ
どうしてそんなに僕と会うのに喜ぶのだろうか
ああ、そうか
また昔みたいに、僕を恭冴の代わりに抱きたいんだろう
だからこんなに喜んでいるのか
それにしても面倒だ
美風的にはさっさとセックスして終わらせたいのだが…
これは長い夜になりそうだ
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