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$8.二人のアルタイル④

  聖はちょっとばかり意地悪く言った。軽く率直な疑問を言ったつもりだろうが礼には気に食わない質問だった。  「何を勘繰(かんぐ)っているのか知らないが使用人は使用人だろ。それ以外に何がある?」  「それならお願いしたってよくない?」  「招かざる客にその資格はない。変な詮索しないでパパとママの所に行ったらどうだ。可愛い息子を待ってんじゃないか」  お互いバチバチな視線から火の粉が舞っている。 聖が自身でも言っていた通り二人は不仲だとはすぐ分かったが、それに巻き込まれるのはたまったもんじゃない。  『あぁぁ!もう!面倒くせーなっ!あのさ!喧嘩するのは勝手だけど二人だけでやれよな!』  「あ、そうだよね悪かったね。えっと、それで短冊はどこでやってる?この家は広すぎて何度来ても覚えられなくてね」  『別に連れて行くくらいいいよ。ちょうど友達がそこに居るし』  「ありがとう。お願い出来る?」  『うん、あっち』  初人は聖に目線で方向を示し着いて来てと言った。これも仕事の内だし聖はどちらかと言えば好感持てる相手だと思ったから。二人は肩を並べて話しながら歩きだす。  「待て。それなら俺も行く」  『は?何でアンタまで来んだよ?』  「ゲストの状況見る為だ。新しい試みをした時の反応を把握するのは経営ビジネスの基本だ」  『意味分かんね、それとは関係なー…』  「いいから連れてけ」  郁は腕組みをしながら初人の右隣に立つ。視線は初人の頭上から聖に向けられて、眉間に寄せたシワがますます深くなり機嫌の悪さはピークといったところだ。  『もう勝手に来れば?連れて行くだけだからな』    連れて行って夕日に二人の世話を丸投げして、さっさとこの面倒から解放されたい。ダルそうに二人に言うと黙ったまま大人しく着いてきた。  遠目からでもカラフルな短冊がいくつも吊るされた笹の木は目立っていて周りにはゲストが数人いる。その真ん中でせっせと仕事をこなしている夕日が目に入った。  "夕日っ!"と声をあげると夕日は振り向いてこちらをみて笑顔になって1秒後、初人の左右に何度か視線にブンッブンッと交互に何度が見て宇宙人を見るかのような顔で3人を見ている。  ゆっくり3人に近づいた夕日は郁と聖にペコリと軽い会釈をして、初人の腕をガシッと引っ張り少し歩いて2人から距離を取った。  「ちょ、慧!何してんの!?何で二人と一緒にいるの!?」  『え?あ〜話すと長くなるんだけど、とりあえず短冊やりたいって言ってるから来たんだけど』  「は!?郁さんと聖さんが並んで歩いてる事すらあり得ないのに一緒に短冊したいって!?この後、大雪でも降る?それとも今日は人生滅亡最後の日?あ〜神様お願いします!まだまだやり残した事があるので死ねないです」      両手を合わせて空に向かって何やらぶつぶつと言い出す夕日を見て、初人も可笑しくて少し笑ってしまった。  『夕日何言ってんの?それよりさ二人を任せていい?』  「ダメダメっ!無理だって。こんな状況耐えらる訳ないじゃん!連れてきたんだから責任持ってよ!」  『だって俺も面倒くさいしそれにー…』  「話は終わったか?」    その言葉に振り向いた先にはギロっと痛い視線を突きつける郁。そして正反対にニコッと笑顔を向けた聖が近づいてくる。  「忙しいのにお願いしてごめんね。短冊なんて子供の時以来で、何だか面白そうなことやってるから興味があって。1つ書きたいんだけどお願い出来ないかな?」  

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