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世界が灰に染まった日 8

「そろそろいいか……?」  指を出し入れしながら男が呟く。指3本分の太さと男の相変わらずデカイままのブツとを比べるとまだ大分差がある様な気がした。けど、最初に思ってたみたいに絶対無理とまではもう思わない。尻の穴は意外と柔軟性があったらしい。違和感と苦痛しかないとは言え、裂けることなく3本の指を受け入れているのだから。 「さっさと終わらせてくれ」 「そうだな。お前がエロいせいで俺ももう我慢の限界だ」 「何で俺のせいなんだよ」  文句を言っても男は肩を揺らして笑うだけだ。股の間に腰をおろした男が、俺の太股をぐっと押して折り曲げる。男の眼前に晒されたであろう穴に、男がブツをあてがった。  でかい。想像以上のデカさだ。けど、耐えなきゃ終わらない。まだ慣らし足りない、なんて言われてこれ以上尻を弄られ続けるのだけはごめんだ。 「いくぞ」 「ぐ……ぐうう、い、……うぅ」  宣言と同時に侵入してきたそれはやっぱりデカくて、穴を無理矢理広げられていく感覚が痛くて怖かった。いつブチッとなるかと思うと冷や汗が出てくる。 「思った以上に狭いな」  男の声も苦しそうだ。狭い中に無理矢理突っ込もうとしてるから、痛いのかもしれない。俺のは想像以上に狭い。男のは想像以上にデカイ。これって相性悪いどころの騒ぎではないのでは。 「ふーっ……おい、力抜け」 「ぬ、いてる」 「もっと抜け。さっき教えたろ」 「やって、る」  指を入れられながら、息を吐けだの、力を入れるなだの、いきんでみろだの色々言われて、その度に俺なりに努力した。男にヤられるってだけで悲惨なのに、痛い思いをして更に悲惨な目に遭いたくはなかったから。男には上手くなってきたとか、覚えが早いとか褒められた。それがお世辞じゃなきゃ俺はそれなりに出来てた筈で、今もその通りにやってる。出来てる筈だ。 「おまえのが、う……、デカすぎんだ、よ」 「そうか、嬉しいこと言ってくれるじゃねえか」 「ば……、ほめて、ねえ」  二人して脂汗流しながら何やってんだろう。俺には選択権はないけど、こいつは別だ。苦痛ならやめればいいのに。それでもやめようとしない男が押したり引いたりしながら試行錯誤しつつ腰を進める度に圧迫感と痛みの一歩手前の違和感が凄い。多分、裂けるか裂けないかの紙一重の状況にある。それが怖い。 「もうすぐ一番太いとこが入っちまうからな」  一番太い所って、先っぽの出っ張ったところのことだろうか。まだそれだけしか入ってないのかと軽く絶望を覚えるけど、耐えなきゃ終わらないのだ。  男がゆっくりと腰を押したり引いたりしながら中へと進んでくる。何回かそうされている内に、毎回腰が止まってた、もうこれ以上広げられたら裂けるって所を越えて、ずるん、と男のが中に収まった。 「入った、ぜ……」  男がふーふー荒い息をつきながら言った。穴の違和感は相変わらず凄いけど、なんとか裂けずに済んでいる様だ。少し休みたい。そう思ったけれど、続けて男が腰を進めてきた。身構えたが、一番太い所が入るまで拡張された為だろうか、内臓を押される圧迫感はあるものの、裂けるんじゃないかという先程までの切迫感はなかった。が、ほっとしたのは束の間だった。 「いっ……!」  男のが、一番奥まで到達したらしい。こつんと当たってるのを男も気付いているだろうに、その行き詰まりをグイグイ押してくるものだから腹の中が鈍く痛む。 「も、はいんねえ、よ……っ!そこ、一番おく、だから……っ」 「ちげえよ、見てみろ。まだ半分も入ってねえ」  言われるがままに頭を上げて下腹部を見てみたが、後悔した。自分と男のが繋がっているのをまじまじと目にしてしまったからだ。しかも、男の言うようにまだ半分しか入ってない。 「さっきも、言ったろっ。お前のが、デカすぎんだって」 「けど、この奥がお前が知りたがってた場所なんだぜ?」 「な、んだよ、それ……っ。いいから、おく、押すのやめろ……!」  こいつはさっきから人の話を聞いているのか。それ以上入らないって言ってるのに腰を進めようとしてくるのをやめてくれない。 「男が気持ち良くなる場所その二」 「は、あ……?」 「この奥ちんぽで突いたら、天国に行けるぜ」  漸く合点が言った。さっき言ってたその一、その二の話か。そんなの知りたいと言った覚えもないし、知りたくもない。それに天国って、物理的な意味でだ絶対。だってこのままここを突かれ続けたら内臓破れて死ぬ。 「な、あ……たのむ、から、そこ、もう、押さないで……痛えんだ、ほんとに……っ」  断続的に与えられる痛みで目の上に水の膜が張っていくのが分かる。情けないしこんな姿見せたくないけど生理的なものだ。自分の意思でどうにかなるものじゃない。

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