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第4話
「動くよ」
ハルの声が降ってきた。ついでに額にキスもされた。そして僕の了承を確認する前にハルは僕の中から引き抜かれていって、また犯してくる。多分あれは確認ではなく、報告だったのだ。
「んぁっ」
ハルはきちんと僕の気持ちいいところを擦っていく。ぐちゅ、ぐちゅ、とローションが水音を立てる。
「は、……あっ、……あっ、あっ」
いつもより深く犯してくるハルに、僕はついていくのが精一杯だ。意味のない嬌声を上げてばかりいる。相変わらず目を瞑ったままの僕は、体内のハルを強く感じる。
痛い。気持ちいい。痛いけれど、気持ちいい。
なごむとハル。なごむはこんなことをしない。
僕はなごむを好きだっただけなのに、なぜハルとこんなことをするようになったのだろう。僕はなごむとこういうことがしたかったのか、ハルだからするのか、わからない。ハルは所詮なごむの代替品だから、何をしても僕をきらいにはならないから、だからこんな醜態も晒せるのだろうか。それはもう「好き」と変わらないんじゃないだろうか。
不意にハルが僕のペニスを触ってきた。
「ひゃんっ」
繰り返される抽挿だけで十分に感じていた僕は、突然の直接的な刺激に悲鳴を上げた。
「ハル……っ」
思わず閉じていた目を開いて、ハルを睨みつける。
「まどか先輩、何、考えてるの?」
ハルになごむの話をしたことはない。はるはなごむを連れて行ってしまうから。もう一片たりとも僕の中のなごむを持って行かないで欲しい。
「……内緒」
ハルにだけは教えない。
ハルはちょっとつまらなそうな顔をした。「先輩はいつもそうだ」と呟いた気がしたけれど、僕の気の所為かもしれない。
「別に先輩が何考えてても、いいけど」
頑なにシーツを握りしめている僕の指を、ハルは一本一本解いていった。そうして十指全部を解放すると、まずは僕の右腕を、次に左腕をハルの首に回させた。
「今だけ、おれを見て」
ハルはなごむとよく似た目で笑って言った。僕の中のなごむはそんなことを言わないし、そんなときに笑わない。強制的に僕の中のなごむが上書きされてしまう。僕は反射的に目を閉じた。ハルの苦笑する声が聞こえた。
「まぁ、いいけど」
中断されていた抽挿がまた、繰り返される。そうすると僕ののどから喘ぎ声が出てくる。
「あっ、……あんっ」
深いところまで貫かれて、引いていくのに、またさらに奥まで犯される。それだけの単純な繰り返しが気持ちいい。こんなこと、なごむと一緒にいたときは知らなかった。ハルに教えられた。
僕らがしているこの行為は多分、セックスじゃない。そうじゃない何かを、ハルで知った。
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