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出会い 2
背の高い新入生は、無表情だった。
笑うことなんかあるのかという顔をしていた。
メガネなんかかけてんのも、表情を隠すみたいで、何故か凶悪な感じがした。
粗くはあっても整ってると言える顔だ。
でも、あまりに表情がないしその目が冷たすぎるから、おそろしさしか人は感じないだろう。
こんな冷たい金属みたいな無機質な目をオレは初めて見た。
これは15才の殺人鬼、と言われたら納得しただろう。
デカい身体も。
無表情さも。
そのメガネの奥の冷たい目も。
どこか不安を掻き立てる異質さがあった。
でも、オレそれはオレの興味を引いた。
面白いな、と思った。
だが助ける気は毛頭無く、オレは少し離れた場所にある、オレ専用のベンチから起き上がり見学することにした。
そう、オレは本当にすぐそこにいたのだ。
ヤツらはオレを気にしない。
オレはヤツらを気にしない。
お互い空気としてやってきてる。
「生意気そうだな」
3年のバカが言ってた。
この学校程度では王様になっていられるいじめっ子だ。
だが、このバカが暴力を使って威張ってられるのも後一年。
学校内での権力くらいにしか興味がないから、卒業したら弱いモノをイジメはしても、強いモノに媚びなきゃいけない毎日を送ることになっているのは確定だ。
だからコイツはこの最後の一年を心ゆくまで楽しむつもりだ。
その為にはこの生意気そうな後輩をしめておく必要があるのは良くわかった。
最後の一年を楽しむためのお祭り、それがこのデカい新入生をまずシメておくことなんだろう。
デカいが、人数は6人。
まあ、無理目ではない。
一対一では叶わないとちゃんとわかっているからだ。
オレが一年の時の教訓が行かされている。
オレは絡まられてすぐに、一対一になれる場所に逃げてから返り討ちにしたのだ。
二度とこいつらがそうしたくならないように、オレは徹底的にやった。
ヤツの差し歯の原因はオレだ。
そして、お互い不干渉という関係を作った。
だが今回はキチンと校舎の壁を背にして、逃げられない場所で囲って詰めている。
なるほど。
それなりに賢くなったみたいだ。
王さまでいられる、コイツの人生の最大のピークが、この一年しかないと分かっているだけのことはある。
「・・・」
鉄面皮は何も答えなかった。
無反応とも言えた。
どうでも良さそうだった。
音が届いていないかのよう。
囲まれているのも気付いてないかのようだ。
王様気取りは真っ赤になった。
バカにされたと思ったのだ。
まあ、実際そうなんだろう。
無関心しかそこにはなかった。
音が鳴っているのにも気付かないような。
バカにしてるんだろ。
いや、本当に無関心なのか?
オレはますます興味を持った。
この新入生のこの反応、面白い!!
どうなんの?
「捕まえろ!!」
命令が出た。
バカの王さまは本当に賢くなった。
まず集団で抑え込むことを優先させるようになったなんて。
脳みそが使えるようになった。
カッコつけて全員で殴りにきた去年とは一味違う。
バカが卑劣に磨きをかけた。
人間は成長すんだな。
オレは感心した。
それでもオレからすれば甘いけど。
さてさて、鉄面皮、どうする?
オレは楽しく見守っていた。
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