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出会い 6

「なんで、お前、ここに!!!オレの部屋!!!」 日本語が怪しくなりながらオレは喚いた。 「先輩を送り届けましたが、お家の方がいらっしゃらないようなので、先輩を寝かせて、それから何かあってはいけないので、様子を見させていただきました」 ニコニコしながら、バキバキのそれがオレのパジャマのしりごしにあたっているのを気にする様子もなくソイツは言う。 何故、抱きしめている。 何故裸。 オレは固まっていた。 ただ、疑問だけが頭につまっている。 「大丈夫です。ちゃんと先輩の身体は拭かせてもらいましたし、オレもシャワーをお借りしました。綺麗な身体で布団には入らないといけませんからね」 なんか満足そうにアイツは言ってる。 何をイッテル??? 「なんでなんで・・・勃ててんだよ!!」 オレは裸にされ、身体まで拭かれていたということに、さらにショックを受けているし、なによりその存在が恐ろしい。 それ、それ、マジそんなサイズなの? 「これは生理現象ですよ。先輩だってそうなるでしょ?」 ケロっとアイツが言った。 オレ、オレのはそんな大きさにはならない!! でも、その口調は真面目そのものなので、少し少し・・・安心してしまった。 安心出来る要素などどこにもないのに。 「お前、服は!?」 とにかくオレは怒鳴る。 「オレの着れる服はここにないと思うので裸ですみません。僕のパンツは先輩のシャツや下着と一緒に洗濯させてもらいました」 アイツが窓の外をゆびさす。 窓の外にある物干し台(ベランダ等ではない、今どきない時代ものの物干し台としか言いようのないスペースがそこにある)の物干し竿に、オレのシャツやバンツやTシャツと一緒に、巨大なパンツやシャツやTシャツが干してあった。 勝手にオレのと一緒に自分のシャツやパンツも洗濯したらしい。 もうすっかり日の落ちた外で、それは揺れていた。 布団の隣にオレとこいつの制服はキレイに畳んで置いてあった。 「・・・」 何を言えばいいのかわからない。 オレはパジャマのまま、裸の新入生に抱きしめられているという事実に混乱するだけだった。 このパジャマは。 アニキのもので、昔、アニキの彼女がアニキにプレゼントしたヤツで。 良く見つけたな、とおもった。 オレはパジャマなんか着ない。 Tシャツとスウェット派だ。 これを着ていたアニキを思い出してしまった。 だが、そんな場合場合ではない!! オレはグルグル回る頭を振って正気をとりもどす。 ただ、悪気や害意はないのでは、とオレは思ってしまったのだ。 なにもかもが異様すぎて、脳がバグってきた。 この一年思い出さないようにしてたアニキのこととかも思い出してしまったのとか、色々あって。 「フルチンで洗濯物を干したのか?」 オレはそんな質問をしてしまった。 近所の目が心配すぎた。 子供に部屋を貸してもらえるとこなんかそうないのだ。 コイツのモンなんかワイセツブツ極まりない。 「まさか。ちゃんと腰にバスタオルを巻きましたよ」 何故か当たり前のように言われた。 見事に盛り上がった胸を張って。 コイツ、絶対に現役の「何か」だ。 素人の身体じゃない。 「全裸で洗濯物を干すわけがないじゃないですか」 クスッと笑われた。 いや、初対面の人間の部屋に押しかけて全裸になって洗濯する奴もいないんだよ、普通。 コイツ、全裸でオレを抱きしめいるのはいいのか、と混乱したが、もう混乱に混乱を極めいて、わけが分からなくなっていた。 「・・・お腹空いてますか?」 そう聞かれる理由もわからなくて。 ぼんやりしてたら腹か鳴った。 ソイツは笑った。 でも、ソイツがオレから離れて起き上がるのも、良くわからなくて。 すっぽんぽんの姿、巨大なもんを突き立ているものの凶悪さも、掘られた彫刻みたいな筋肉の美しさも、場違いな程無邪気な笑顔も。 全てをオレを混乱させていて。 「何か作りますね」 アイツが腰にバスタオルを巻くのをぼう然とオレは見ていたのだった。 アイツはトイレに向かって行き、トイレを流す音や手を洗う音がして。 当たり前のように台所でタオル一枚の姿で冷蔵庫を空けてて。 「先輩・・・野菜が全然無いですね、ダメですよ」 とか舌打ちしながら、豚肉を取り出していて。 そして炊飯器を空けて保温のご飯を確認していて。 「ネギはあるし・・・チューブの生姜もあるし・・・チャーハンでもいいですか?」 と言われてたりしてる自分を、呆然と幽体離脱でもしているみたいに感じてた。 ここまで。 ここまで。 傍若無人に振る舞われたことはなかった。 人間は限界を超えると、石になることを理解した。 そして。 オレは。 タオルとメガネしか身につけていない、会ったばかりの新入生とソイツが作ったチャーハンを食べることになったのだった。 全く。 全く。 意味が分からなかった。 オレと後輩の。 出会った記念すべき第一日だった。

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