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崩壊 3

「挿れるんはこれからは無し」 ジムに行った日の夜はちょうど日曜日で、アイツが部屋に来るなりオレは言った。 結構、断腸の思いだった。 アイツが白くなった。 真っ白になってカチカチ歯を鳴らして震えていた。 「僕が・・・僕が・・・あなたを傷つけてしまった?」 震える声でいわれた。 「嫌いになったんですか」 ガタガタ震えながら言われた。 でっかいでっかい男が怯えきるのは滑稽で、でもその分悲愴だった。 慌てて説明する。 「違う違う。これからは平日は挿れるのは無し。土曜日の夜だけはあり」 そう言った オレはボクシングを始めることにしたのだ。 そのためには、毎日毎日挿れられるのは無理だ。 抱かれる側は身体の負担がデカいのだ。 「で、痕つけるのも無し」 そこもキッパリ言った。 学校の体育で首筋にキスマークや歯型をつけているのはまあ、モテない奴らへの嫌がらせで気にもしてなかったけれど、ジムでそういうのはちょっと。 真面目にやりたい、そう思ったのだ。 「ボクシングジム?」 アイツは遠い国の初めて聞く言葉のようにそう言った。 「そうだよ。始めてみることにした」 オレは言った。 アイツの試合でアイツが綺麗だったことが、オレの中にある熱を呼び覚ましたことはなんか恥ずかしいから言えなかった。 オレはもう一度。 格闘技をしてみたいと思ったんだ。 だって。 オレは格闘技が好きだったんだ。 「痕をつけたらダメ」 アイツが何かカタコトみたいに言っている。 これも実は残念だ。 オレはアイツに胸を弄られいかされるのとか大好きで、腫れるまで虐められたり、皮膚の弱いトコを吸われたりするのも大好きだったからだ。 でも、全身に抱かれた跡がある身体でジムには行きにくい。 そういうのは当分無しだ。 しばらくTシャツは脱げないな、と思ってる。 どれくらいで消えるかな。 コイツが好きなようにつけているから。 でも、まあ。 残念だけど。 仕方ない。 「・・・・・・」 アイツが不安そうな顔をした。 その顔が迷子になった子どもみたいだったので、オレは手招きした。 自分の膝を叩きながら。 オレがアイツの膝に頭を乗せて甘えるのは良くあるが、たまにはオレもアイツにしてやっている。 アイツがとても喜ぶからだ。 アイツは怯えた顔のまま、おずおずとオレの膝に頭をのせる。 髪を撫でてやった。 「まあ、確かに思い切り出来なくなるけど・・・おまえと離れるわけじゃない。オレだって辛いけどな」 オレは正直に言った。 「2人でセックスだけしてりゃいいってわけじゃないだろ」 この言葉はアイツには意味がなかったと言ってすぐわかった。 「なんでダメなんですか?」 言葉にはしなくてもこちらをみる目がそう言ってた。 コイツはなんなら2人でずっとセックスしているだけで良かったのだ。 世界にオレしかいないから。 そこについてもオレは考え始めていた。 コイツの世界にオレしかいないことについても。 だが、それでいいと思ってるコイツにオレが考えていることについて今話すのは、コイツが反発するだけだともわかっていたし。 もう少しこのままでもいいかな、とも思っていたのはオレの狡さだった。 「お前が可愛いよ、ホントだ」 オレは本気で言って膝の上のアイツの唇にキスした。 2度3度重ねる度に深くなる。 慣れた舌はいやらしく口の中を犯していく。 くちゃくちゃ響く音に頭が焼ききれる。 「土曜日は・・・挿れていいから・・・」 オレがもう喘いでいた。 アイツが目を細める。 布団すら引かずに畳の上で抱かれた。 言いつけを守って、アイツは痕はつけなかった。 でも、ガツガツと貪られて。 「こんなにコレが好きなくせに」 と言葉には出さないで行為で責められた。 奥深くをたっぷりいじめられた。 オレはソレが本当に大好きでヨダレを出して喜んだけど。 でも。 取り消そうとは思わなかった。 オレは。 もう一度生きたかった。 そして。 コイツにも世界を与えたかった。 それは2人の世界の終わりを意味していた

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