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崩壊 5
アニキは強くはいられなかっただけだ。
弟を育て働くアニキに、アニキの会社の上司は厳しかった。
ボクシングをしていることも気に入らなかった。
ちょっとは有名な柔道選手だったことも気に入らなかった。
パワハラやモラハラと言われるものがあったのだ。
アニキにボクシングをさせないように嫌がらせをしてきた。
わざと練習や試合の前に断れない仕事を持って来た。
アニキを大声でバカにした。
「ちょっとは強いつもりかもしれないが、仕事じゃ別だ。なめんなよ」
と怒鳴りつけた。
嫌がらせのためだけの仕事と罵倒。
でもアニキは耐えた。
オレのためだ。
弟を育てられる条件に合う会社などそんなになかったからだ。
アニキはオレを手放したくなかった。
というより。
アニキに手放されたなら、オレがどれほど悲しむか知ってたのだ。
例え納得はしていて、恨みもしないとしても。
オレを邪魔だとしか思わない、これまで馴染みもなかった叔父の元へ置くのがよいとは思えなかったからだ。
アニキは。
耐えた。
笑って耐えて。
毎日侮辱されて。
怒鳴られ、追い詰められて。
ジムに行けなくなり、ボクシングも半ばやめたようになり、どんどん痩せて。
ある日、会社の屋上から飛び降りた。
オレに「ごめん」とだけ書いていた。
ごめん。
弱いアニキでごめん。
ごめん。
ごめん。
それだけだった。
アニキは弱音がはけなかったけれど、アニキを愛してくれた人達がいて。
柔道やボクシングで繋がった人達だ。
その人達が怒り狂い、会社へ裁判をしようとしてくれた。
そこそこ名前のあった選手だったアニキの死が、ニュースになるのを恐れて、会社は多額のお金を持ってきた。
それでみんな引いた。
オレのために。
オレが一人で生きていくのに金がいるから。
金は弁護士さんが管理して、叔父を通してオレに送ってくれている。
オレはアニキが死んだことで出来た金で。
今生きているのだ。
「死ぬくらいなら、捨ててくれて良かったんだ」
オレはあいつに言っていた。
「オレのせいで死んでしまうくらいなら」
オレは。
泣かなかった。
泣いたのはアイツで。
「あなたが苦しいことに、耐えられない・・・」
そう言って泣いた。
アニキの死なんてどうでも良くて、ただただオレが苦しいことに耐えられないアイツに、笑ってしまった。
「どうすれば・・・あなたは苦しくない?どうすれば?あなたの胸も痛いのですか?」
アイツは胸を掻きむしる。
そこが痛くてたまらないかのように。
アイツの手をのけ、その胸にキスした。
唇に胸の鼓動が響く。
抱き寄せられた。
「あなたを置いてなんかいかない。あなたから離れられない。死ぬなんてありえない」
その言葉が全て真実であることがオレを救う。
「もう1回しよ」
オレは泣いてるアイツに言う。
アイツは泣きながらオレにキスしてきた。
塩辛いキスが甘かった。
「中に出して」
キスの後、そう言った。
全部欲しかったから。
アイツは一瞬で真っ赤になった。
いやらしいくせに、たまに童貞になる。
「奥まで虐めて、いっぱい出して」
そうされたかった。
オレの男に。
でも、アイツがオレを満たしてくれるほど、オレの罪悪感は。
募っていく。
アイツには本当にオレしかいなくて。
だからこそオレだけの男で。
でも。
それはきっと・・・。
「いっばいします。奥まで。たくさんだします」
アイツが脚を肩にかつぎあげ、宣言したから。
オレの思考は途切れた。
いやらしい男は。
オレの奥までぶち抜き、その先を存分にこねああげた。
最近覚えたソコは、オレの理性を完全に飛ばしてしまう場所で。
「僕のちんぽが好きですか?」
「ここをどうされたいですか?」
実はドスケベな男に囁き続けられるのだ。
「ちんぽ・・・好きぃ・'・」
「グチュグチュしてぇ・・・奥で出してぇ・・・」
オレは泣いて懇願するのだ。
「あなただけ。あなただけ。あなただけだ!!僕から離れないで」
アイツも懇願する。
1番奥で出される。
それに気を失う。
でも。
またぶち抜かれて、声をあげる。
良かった。
良かった。
気持ち良かった。
オレの男はオレだけの男は。
最高だった。
これが、オレの欲しかったモノだった。
二度とオレから去らない誰か。
でも、アイツの涙がオレの胸も焦がした。
オレは。
オレは。
もう黙っているべきじゃなかった。
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