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巻き戻し 6

オレはアイツと話をしたかったのだった。 アイツが忘れた頃の話について 喫茶店でアイツはオレの向かいに座った。 何を考えているのかさっばり分からない顔で。 でもそれは、初めて会った時の感情のない無機質な目ではなかった。 でもアイツはやはりバフェを頼んで、オレは少し笑ってしまった。 やっぱり、と思って。 アイツはそんなオレをまた何を考えているのか分からない目でみる。 疎ましさ、や、拒否はないように・・・思えた。 オレもブラックコーヒーのお代わりを頼んだ。 マスターはオレとアイツを懐かしそうに見た。 オレたち2人に見覚えはあったんだろう。 始終きていたわけじゃなくても、とにかくコイツは目立つし、オレはとても顔がいい。 忘れにくいはずだ。 でも、あの頃とは雰囲気が変わりすぎていて、気安く声がかけなれないのもわかった。 オレ達の関係は変わってしまっている。 あまりにも。 まずオレは場所を変えることを提案した。 これはまあ、公の場所で出来る話ではないことを匂わせて。 「みたい、ですね」 アイツは意味ありげに言った。 高校の時でさえ180後半だった身体はさらにデカくなって190は超えていた。 来たパフェを飲みものみたいに食べながら。 ものの数秒でなくなる。 お代わりしたそうだったが、我慢しているのがわかる。 アスリートは暴飲暴食はできないのだ。 それはボクサーであるオレも同じなのでわかる。 「 さん、 ジムの日本ランカーですよね、階級は 級 。実力はあるけど勝負弱い。最後の最後でねばれない」 アイツが調べただろうオレについて話し始めた。 「勝負弱くは無いぞ。試合中に負傷してしまっただけだ」 オレは嫌な顔をして抗議する。 10年やってて国内タイトルマッチにたどり着けないことは自覚している。 頑張っているが、怪我等があり、順風満帆とは言えないことは事実だ。 「ネットにある試合動画も見ましたよ。悪くない。良いボクサーだ。ちゃんとボクサーだ」 門外漢とはいえ、世界有数の格闘家にそう言われるのは悪くない。 てか、嬉しい。 思わず笑顔になる。 またアイツが目を細める。 この表情の意味は何だろう。 「あなたの部屋で話しましょうか。ここじゃできない話なんでしょう。ここじゃ、できない、ね」 意味深にそう言われてコーヒーを吹いた。 アイツに思い切りかかったが、アイツは笑っただけだった。 その笑顔がやばかった。 悪い男の顔だったから。 それで確信した。 部屋に来るという意味を。 「・・・以前の僕がどうだったのか、僕も興味があるんですよ」 オレを覗き込む目は誘っていた。 「僕とあなたについて。あなたが僕に教えて下さい」 テーブルに肘をついて、美しく凶暴な悪い男がパフェのスプーンを咥えながら言うから。 オレは。 そうするしかなかったのだ。 部屋に着くなり、アイツは面白そうに部屋を見回した。 が、格別思い出すこともなかったようだった。 が、すぐにオレの腕をとり、引き寄せて。 「僕とあなたはシてたんだろ?。その身体で教えて下さいよ・・・どうシてたのか・・・」 耳元囁かれ、背中を撫でられ、尻を揉まれたら、オレの身体は簡単に火がついて。 「キスして・・・」 そう泣いたら、フッと笑われて、キスされて。 そのキスがいやらしくて、えろくて、でもアイツのキスで、アイツの舌で。 夢中になっている間に裸に剥かれてて。 「男は抱いたことないと思ってたんですけどね」 そう言いながらアイツはオレを敷いたままだった布団に押し倒していて。 アイツもあっという間に服を脱いで。 そして、アイツはオレを抱き始めていたのだった。 手馴れて、いやらしくて。 沢山女を抱いたのだと、思い知らされて。 でも。 アイツを拒めるわけもなかったのだ。

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