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リバイバル 2
その日は寝込んだ。
日曜日だった。
土曜日の夜だったからアイツはオレに会いに来たんだな、と思った。
日曜日が休養日だから。
だからセックスもした。
練習に響かないように。
以前もそうしていたのに、なんか傷ついている自分に凹む。
「私のこと本当に好きじゃないのね、都合が良かったんだ」とオレに言った女の子達に土下座したい気分だった。
いや、アイツと出逢ってからはそんなことはしてないけどね!!
女の子達をあいせなくても誠実には扱ってきたぞ!!
でも、そう自分がされてみて切ない。
都合の良い時にセックスに付き合ってくれる相手に相手の気持ちに漬け込んでセックスすんのは・・・ひでぇなぁ。
ごめんなさい
女の子達。
オレは心の底から謝った。
でも、ちゃんと天罰が当たったから。
オレはアイツが好きだけど、コレは違う。
世界が終わるまでにアイツとしたいのはコレじゃない。
オレは考える。
楽しいセフレで終わるために、アイツの所へ戻ってきたわけじゃない。
でも、どうしたらいいんだ?
オレは悩む。
ゴロゴロ悩み転がっているオレのところにアイツから電話がかかってきた。
「・・・はい」
震える声で出てしまう。
こんなのオレじゃない。
「身体、大丈夫ですか?すみません・・・あまりにあなたが可愛いから、おさえられなくて」
低い声に甘く囁かれてしまう。
こんなところまで手馴れてるな、とも思うんだけど。
「男相手に可愛いはないだろ。・・・で、お前彼女いんの?嘘はつくなよ。調べるぞ。嘘だったら許さないこらな」
オレはさっさと本題から言う。
オレの「許さない」は、それなりの格闘家であるオレの「許さない」はものすごく重いはずなんだが、重量級の世界的な選手、スーパースターはあっさりそれを笑う。
ムカつく。
「・・・いますよ」
淡々と言われて、やはりショックだったし、分かってたし、彼女に悪いことをした、と思った。
誰かを傷つけるために戻ってきたわけでもない。
ああ、オレは何がしたかったのだろう。
アイツを手放した時点でもうオレたちは終わってたのに。
「そう」
電話を切ろうと思った。
コレで終わりだ。
もう一度終わりまで一人行こう。
少なくとも、納得は出来た。
オレのアイツはもういないのだ。
「でも別れました。今朝」
淡々と言われた。
「本当なら今日も1日あなたを抱いていたかった。でも、それより先にすることがあったから、あなたを置いていくしかなかった。だから彼女と別れてきましたよ」
言われる言葉の意味が頭に入らない。
「彼女よりはあなたがいい。あなただって僕が好きでしょう。何より身体の相性が比べ物にならない」
酷いことを言われてるな、と思った。
これはオレの知らない悪い男だ。
セックスが良いからと、違う相手に乗り換える。
「好きだったよ。・・・でもそれはお前じゃないって今わかった」
オレはため息を着きながら言った。
「どういうことです?」
分からないと言ったようにアイツが言う。
分かんないのか。
せっかく世界を手に入れて、一人じゃ無くなったのに、誰かが居てくれる意味も分かんなかったのか。
「彼女とやり直せ、オレが言うことじゃないけど」
オレは言って電話を切った。
電話を切るのはいつでもオレからで。
それは唯一変わらないことだった。
世界の終わりまで。
どう生きていこう。
せっかく帰ってきたのに。
これでは。
オレはとりあえず寝た。
体力を回復させて。
また考える。
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