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リバイバル 3

寝てたらドアをドンドン叩かれた。 このボロアパートにはインターホンなどないからだ。 無視してた。 何となく誰なのかわかったからだ。 ドンドンはグワングワンになり、ドガッ!!グガッッ!!と凹むような音になり始めたのでさすがに焦る。 鉄のドア凹ませてんの??? 納得出来るまで止まらないとこや、絶対諦めないところは変わらないんだな。 「開けろ!!ぶち破るぞ!!」 獣の叫び声で、やっと開けることにした。 マジでドアを壊されそうだったからだ。 やりかねない。 ドアを開けたら、全身汗だくのアイツがいた。 アイツの家はオレの家より電車で数駅先だ。 走ってきたのがわかった。 よくこの短時間で。 顔が怒りで真っ黒で、目だけがギラギラしてて、大きく剥いた口から犬歯が見えてて。 ぶっちゃけ「化け物」って思った。 「・・・・・・ふざけんな!!」 アイツが吠えた。 空気がビリビリ震えた。 すごい声だった。 ご近所さんに迷惑この上ないな、と思った。 「うるせぇ、静かにしろ」 オレは眉をひそめた。 「突然そちらから近寄ってきといて、もう終わりってどういことだよ!!」 アイツは全くオレの言葉を聞こうともしないで、また怒鳴る。 怒鳴るから。 仕方ない。 「入れよ。大人しくな」 そういうしかなかった。 コイツは有名人なのだ。 変に通報されて、警察沙汰になるのはな。 どうせ世界は終わるけど、それを知る必要もないし、それまで心穏やかに暮らして欲しいし。 家に入れてもらえると知ってアイツはやっと大人しくなった。 でも、部屋に入るなりオレを抱きしめてきた。 「おい、離せ!!」 オレはため息をつく。 暴走するコイツを止めるのに前は命令1つで済んだが、今のコイツはそうもいかない。 「嫌だ!!」 アイツはオレを抱きしめて離さない。 ギリギリと締められて、身体が軋む。 内臓が締め付けられ背骨が軋む。 死ぬ、と思った。 試合の時より死を感じた。 「苦しい!!殺す気か!!」 悲鳴をあげたらやっと緩めた。 だが離そうとはしない。 「嫌だ。嫌だ。絶対離さない」 アイツが繰り返す。 ああ、コイツは。 こういう奴だったよな、と思い出した。 言い出したら聞かない。 これに押し切られてつきあったんだ。 でも今のコイツとオレの知ってるアイツとは違う・・・ 「ちゃんと別れたって言っただろう?ちゃんと付き合うってことだぞ、何が不満だ!!」 アイツが怒鳴る。 「うるせえ。何で上から目線なんだよ」 オレも怒る。 「僕が好きなんだろ?なら何が気に入らない!!」 めちゃくちゃ俺様なセリフを言われて、オレもまあ、こうだったんだよなぁという、反省がある。 あんまり好きだったから付き合ったんだよ オレをお前が。 そんな風に驕っていたのはオレだったんだよな。 「好きだったよ。記憶を無くす前のお前が」 オレは答えた。 「じゃあ・・・なんで消えたんだ?僕が一番苦しい時に。僕が好きで僕と付き合っていたんだろ?僕が手術の後どうなったのか、知ろうともしなかったのか?」 アイツは唸る。 酷く怯えている。 お母さんはそう言ってた。 突然色んな情報が飛び込んできて、すべての人間達を現実として感じられるようになって。 それは恐怖でもあっただろう。 オレに初めて実在を感じてそのあまりの強烈さに、恋までしてしまった程だ。 長くだれの存在も感じとれなかったアイツには沢山の実在する世界が恐怖だったに違いない。 そんなアイツを見捨てた。 確かに。 でも。 でも。 「お前だってオレを忘れた!!」 でも大声で言い返す。 室内は防音だからね。 「それは僕のせいじゃない。思い出したいんだ、あなたが僕にとって何なのか!!だから彼女とも別れたんじゃないか!!」 アイツは怒鳴り返してくる。 「お願いだ・・・これきりなんて嫌だ・・・僕は。あなたが何故だか欲しい。沢山抱きたい。あなたがいい。あんなに良かったことがない。あなただって僕がいいでしょう」 抱きしめられ、尻を撫でられズボンの上から尻の狭間を撫でられた。 アイツが入っていた感覚がまだ残ってるソコはその指に反応してしまう。 思わず声がでたけど、これじゃ繰り返しになってしまう。 だから言う。 「ダメだ」 オレは言う。 その指がもう欲しくて欲しくてたまらなくなっていたけど。 「何故?」 そう言ってアイツの指が服の上から穴に食い込ませるように触ってくるのが、朝までされたことを思い出されて、腰がゆれてしまう。 「僕もあなたも気持ちいい。しかも彼女と別れた。何の問題が?」 アイツは今度は自分の股間をオレのに押し付けてくる。 オレは尻をもちあげられ、ペニスとペニスを合わせられるのに喘いでしまう。 気持ちいい。 いいけど。 「いい加減にしろ!!止めろって言ってるだろ!!命令だ!!」 オレはキレて怒鳴った。 こういうなし崩し的な関係になりたいんじゃない!! こういうのじゃない!! オレが怒鳴った瞬間、「命令だ!!」と言った瞬間。 アイツの身体の力が一瞬で抜けて、オレはアイツの腕か解放されていた。 「ごめんなさい!!怒らないで!!」 アイツがそう泣きながら畳に顔をこすりつけ土下座していた。 一瞬で。 そして、アイツはその後で。 土下座してしまったその後で。 自分が何をしているのかわからない言った顔をした。 「僕は・・・何を? 」 アイツは途方にくれている。 オレなんかに土下座している自分に。 でも、オレは。 笑った。 泣きながら笑った。 アイツの中にいた。 オレのアイツがいた。 正座しているアイツの顔にキスをした。 「お前だ。オレのお前だ。会いたかったよ・・・」 オレは泣きながら畳の上にぴっちり正座しているアイツを抱きしめたのだった。

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